第57話 愛

同じ頃、さっきのエスカレーター駆け足男(笑)は


東京ステーションホテルの部屋で、眠っていた。



別にに急ぐ必要もないのに、なぜか急がされてしまうのは

心に、なんとなく焦りがあったからだったりして。



それまでは、夜になっても眠れず眠っても、悪い夢を見たり


仕事先であった嫌な事を思い出したりして

浅い眠りを繰り返していたりした。



つまり、この男も

悪魔に心を奪われていたと言うよりは

心を弄ばれていたのだ。




それが、術のせいで

心に安定が得られた。



それまでは、育てられかたのせいか

皆を追う生き方しか出来ず

言いようもなく、焦らされていたが



術のせいで、ゆっくり眠れるようになる。




そうすると、男の心に浮かぶのは

幼い頃の、恋の思い出だったりして。




そんな気持ちになると、もう

エスカレーターで人々を押し退けるような

そういう気にはなれなかったりした。




薬がなくっても、健康を取り戻す事も出来る。



そういう事もあるのかもしれない。



------------------------- 第666部分開始 -------------------------

【サブタイトル】

rtt


【本文】

実は、そんな

ささやかな庶民の暮らしを脅かすものが

一番良くないのだけれど

日本人は、もともと島育ちだったので



外から身を守る、と言う文化がなかったりする。



仏教が外から入って来ても、キリスト教が入って来ても


割と、気にせずに入れてしまう。



そういうせいで、正義も曖昧な感じで

だから、悪も曖昧だったりする。




悪をやっつける、なんて言う行動は

あまり庶民には多くなく


どちらかと言うと、仲間外れにすると言う程度で

あったりしたから


悪は、曖昧に生き延びる事になってしまって。




善悪などと言う判断を避けるような


そういう、曖昧さである。






なので、庶民は

割と、悪に虐げられやすい社会だったりするので



この男みたいに、薬が必要だったりする。




本当は、悪をやっつければいいのだけれど

日本人には、表立って行動する事を避けると言う

傾向があったりするから

なかなか、そういう事もなくって。

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