第23話  Far East


Far East

そしてまた、神様は思う。



せわしなく掌でコンピュータを触るひとたちの

多くが


情報を刺激として楽しんでいるだけで


あまり、知的に意味のある行動をしている

訳ではない事を。




「そのせいかの」と、ふと

列車のデッキを振り返り、神様は思う。




刺激に慣れていると、刺激がない事に

堪える事が難しい事は、人間と言う生き物の

恒常性から考えて、理論的帰結であることも。




空想ばかりのコンピュータの作りだすイメージの中に浸っていると、自分の欲望を抑止する事を忘れてしまう事も。




「それで、アメリカンは他の国を侵略するのかのぉ。経済とかで」神様は微笑みながら思う。



列車のデッキから、客車への

豪華な木質の扉と、白金の飾りを眺め




豊かな気持ちを覚えながら。





コンピュータネットワーク、なんて

物々しいものと

ソフトウェア、なんて即物的なものは

所詮、心の豊かさとは縁遠いような



そんな気持ちにもなって。




「なので、アメリカンと日本人は

このところ、変に騒々しいのかの」と



これも、国際会議場のネタになりそうだ、と


思う神様だった(笑)。

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