謎探偵 フタヒロ

愛宕平九郎

第一章 She's not gone.

問い壱

【あたしと仕事、どっちが大事なの?】

 ボクは人生の分かれ道に立っていた。

 右に曲がれば職場への道、左に曲がれば彼女の自宅。


「ねぇ、関川君、ここでハッキリさせて。あたしと仕事、どっちが大事なのよ?」


 また無茶な二択……答えはどっちも大事に決まってる。

 ちなみに真ん中にあるのはただの塀、行き止まりだ。


 時として女性は残酷な二択を突き付けてくる。


「もちろんキミに決まってるさ、でもね……」

「でも、はナシだよ。よく考えて答えてよね。返答次第じゃ、あたしにも考えがあるんだから」


 ボクが働くのはキミのためでもあるんだよ、という答えは門前払いらしい。


 彼女は腕組みして僕の答えを待っている。

 二の腕を指先でトントンしながら待っている。


「さぁ、関川君。仕事とあたし、どっちを選ぶの?」



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