第185話 害虫駆除

「天斗…どういうこと?何故理佳子に付きまとった?」


「あ?何の話だよ…」


石井が間に入って


「あの、青木さんって人の方です…」


「えぇ…お前…この女に何か喋ったのか?」


「いえ…僕は何も…」


「青木…理佳は私の従姉妹だよ…もう二度と付きまとうな!」


「えええええーーーーー!あの娘が薫の従姉妹ーーーーー!」


黒崎と青木が同時に言った。


「お前…マジか…お前とは長い付き合いだけどそんなの一度も聞いたことねぇぞ…」


黒崎が言った。


「天斗、あの娘はたかとの彼女なんだから皆にも言っときな!絶対手を出すな!そして何かあったら死ぬ気で守れ!わかった?」


「そりゃお前の従姉妹ってわかった時点でそうするけどよ…もっと早くに教えてくれれば…影武者より先に出会ってれば…俺がその娘狙ったのによぉ…」


「あ?」


「いや…その…」


伝説と謳われた黒崎天斗も薫の前ではタジタジだった。


「そしてそこのチンチクリン坊や?」


チ…チンチクリン…坊や?この女…どんだけ口が悪いんだよ…けっこう可愛いのに目が怖い…


「はい…」


「理佳にはもう二度と近づくな!次は無いぞ」


「は…はい…」


「話しはそれだけ。理佳には将来を約束した男が居るんだ、もう困らせないこと、いいね?」


「薫…お前はどうなんだ?今はもう…幸せか?」


黒崎が言った。


「天斗…心配要らないよ…今は何もかも上手く行ってる…お母さんにも会えたし…」


お前…母親に会ったのか…じゃ、もしかして…影武者の秘密まで…


「お前…影武者の…」


黒崎がそう言いかけて止めた。


「ん?何?」


「いや…良かったな…お前が幸せならそれでいい…」


あぶねぇ…ここは余計なこと言わず黙っておこう…


「うん、ありがと…じゃあね!」


「お…おう…」


三人は薫の後ろ姿を見送る。


「というわけで、もう二度とあの可愛娘ちゃんには近づくなよ!そしてあの娘に何かあったらすぐに俺たちに報せろ!絶対にあの娘は死んでも守らなければ俺達の命が危うい…」


その日の夜、薫は理佳子に電話した。


「理佳?ちゃんと芽は摘んどいたからもう大丈夫だよ!」


「かおり…いつの間に…今日来ると思って待ってたのに…」


「それがさ、チンチクリン坊やに青木って奴の所に案内しろって言って行ってみたら…向こうの天斗が居たんだよ!もうビックリしちゃって!ついでだから天斗に、理佳に何かあったら死ぬ気で守れって頼んどいた」


「かおり…何から何までありがとう…」


「もう二度と理佳に付きまとう悪い虫は付かないと思うよ!」


「うん…」


かおり…ほんとにありがとう…いつもいつも私の為に…私にとってかおりほど頼れる人は居ないよ…例え世の中の皆がかおりを敵に回したとしても、私は絶対にかおりの味方で居るからね…

電話を切って理佳子は

タカ…もう大丈夫だって…おいで!


ミャアオ!


ここ最近全然寄り付かなかったタカが不思議と理佳子にベッタリ甘える。

タカは何か感じ取ったの?私の回りにたかと君以外の男の人がついて回るのを…大丈夫だよ、私の中にはずっとたかと君しか居ないから…たかと君…


ミャアオ


タカは理佳子の胸に手を乗せて抱っこしろと主張してきた。理佳子は愛くるしいタカを抱き上げ


「可愛い、タカ」


そう言ってタカにキスをした。

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