第166話 気になる理佳子先輩の男の影

クソォ~、何で俺よりチビがいるんだよ…理佳子先輩のファースト握手取り損ねた…あぁ、やっぱり理佳子先輩とLINEしたいなぁ…

石井裕太は家に戻り部屋で寝っ転がって理佳子のことを考えていた。

本田先輩に言われたもんなぁ…相手の気持ちを考えないのはファン失格って…理佳子先輩の立場になって…うーん…難しいなぁ~…逆に俺が言い寄られる立場だとしたら…

石井君…LINE交換して下さい!え?俺で良いの?うん…良いよ、いつでもLINEして!ありがとう!石井君優しいね、ますます好きになっちゃう…

そうだよなぁ~…言い寄られたらやっぱり嬉しいよなぁ…理佳子先輩もやっぱり照れてるけど嬉しいんじゃないかなぁ~…明日終業式にもう一度頼んでみよ…


そして翌日


学校のチャイムが鳴り一斉に生徒全員が学校からゾロゾロと出てくる。石井裕太は走って校門のところで理佳子を待ち伏せした。

まだかなぁ~…遅いなぁ~…なかなか理佳子が出てこないことに焦りを感じ始めた。もしかして…見逃した?そんなはずは…俺に限ってそんなはずは…そして校門から学校の方を覗くと…

え!誰?あの人…

理佳子と一緒に見知らぬ男子生徒が並んで歩いてくる。理佳子が笑いながら楽しそうに並んで歩くその男は…一体何者?

徐々に近付いてきて二人の会話が聞こえてくる。


「それでさぁ、田中先生が…今度お前の母さん紹介しろ!とか言ってさぁ~…」


何だよこいつ…理佳子先輩とやけに馴れ馴れしく喋りやがって…

石井は嫉妬に駆られている。石井はその得たいの知れない男子生徒を睨み付けていた。そしてその後ろからふたりの後をつける。しばらく二人は仲良く歩きそして


「じゃあ、宜しく~!」


男子生徒が理佳子にそう言って手を振り別れた。石井は慌てて理佳子の方へ駆けて


「理佳子先輩!ちょっといいですか?」


理佳子はビクッとして振り返る。


「石井君…」


理佳子は麻衣が居ないので少し構える。どうしよう…二人っきりになったらどう対応して良いかわからないよぉ…


「あの!さっきの人とはどういう関係なんでしょうか?ファンクラブ会長としては是非知っておくべきことだと思うので…」


いや、それは個人的な気持ちだけだと思うけど…理佳子が心の中で呟く。


「どうって…別に友達とかでも無いし…知り合いって言うか…ただの同級生って言うか…今日麻衣が居ないから一緒に帰ろって言われただけって言うか…」


理佳子はしどろもどろになりながら言った。


「じゃあ、男としては一切関係無いってことですね!」


「ま、まぁ…そうかな?」


「そうかな?ってどうしてクエスチョンマーク付くんですか!違うなら違うって言って下さい!」


困ったなぁ~…やっぱりハッキリ石井君に言ってあげた方が良いんだよね?一切気持ちが無いこと伝えてあげないと逆に…かわいそうだよね…


「あの!石井君!」


「はい!!!!!」


うっ…何か凄く期待してるような返事…


「あの…」


「はい!!!!!」


「この前はありがとう…」


「はい!!!!!」


「でも…」


理佳子の消え入りそうな言葉が聞き取れず、石井は期待に胸を膨らませている。

理佳子先輩…もしかして…この前はありがとう!石井君を見直しちゃった!もし…もしよかったら…私と…

いやぁ~ーー!恥ずかしい~ーー!ドキドキするー!


「理佳子先輩!遠慮なく続けて下さい!」

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