第138話 理佳子のモテ期

「でも…とにかく黒崎先輩には伝えといて下さいね!」


「わーった、わーった。言っとくからもう行け!」


「はい!お願いします!僕は相澤信二郎ですから!」


そう言い残して立ち去った。

なんか変な奴だな…頭悪そうだし…



よし!よし!よし!よし!これで俺の株は一気に上がったはずだ!あのがっちりした先輩、ちゃんと黒崎先輩に相澤信二郎が言ってたって言ってくれよぉ~…あの人ちょっと頭悪そうだからなぁ~…

信二郎は妄想にふける

よし!お前の誠意は見届けた!今日から俺の一番弟子として認めてやろう!

はい!ありがとうございます!いつか伝説の相澤と呼ばれるように頑張ります!

ってなぁ~…俺も超有名人になったりして…



一方、理佳子の通う学校では

あぁ、今日も清水先輩は麗しかったなぁ…なんて可愛さなんだろう…たまに俺に話しかけに来てくれねぇかなぁ…

石井祐太…理佳子に恋い焦がれ片思い中の現在二年生だ。石井は下校中1人で歩きながら理佳子の事を考えている。

その時、新入生二人がタタタタタ~ッと石井の横を走りすり抜けていく。


「おい!急げ!早くしないとあの超可愛い先輩帰っちまうぞ!」


「おう!あの先輩の名前聞きに行こうぜ!」


石井はその二人の指す先輩がもしかしてと勘ぐる。

バカヤロ~!清水先輩は誰にも渡さん!お前ら新入りに手を出されてたまるか~!

石井は新入生の後を追いかける。

居た!清水先輩!やっぱコイツらも清水先輩の事を!


「すみませ~ん!ちょっと良いですかぁ~」


新入生二人が理佳子を呼び止める。

理佳子と本田麻衣が振り返り立ち止まる。


「あの、先輩…」


そう言って二人が理佳子へ


「あの、お名前教えて下さい!」


本田麻衣がニヤニヤしながら


「理佳子、あんたモテ期だね!」


「止めてよぉ~」


理佳子が照れながら言う。


「理佳子先輩!名字も教えて下さい!」


そこへ


「ちょっと待ったぁ~~~!!!」


石井祐太が止めに入った。


「あ?誰?」


「清水先輩!僕の事を覚えてますか?」


「石井君!」


「あら!可愛い後輩も登場…」


本田がからかい気味に言った。


「覚えてますかって…いつも会ってるから忘れるわけないよね?」


理佳子が言う。


「石井?あんた誰?」


新入生が石井の真面目で弱そうなナリを見て完全に下に見ている。


「お前ら!後輩のくせに先輩に向かって無礼だぞ!」


「は?先輩?だから何?」


「可愛い新入生ちゃん!その子は理佳子の命の恩人と言っても良いぐらいの子なの!」


新入生ちゃん…って…こいつが理佳子先輩の恩人?とてもそうは見えねぇなぁ…


「フン!俺はなぁ、清水先輩の窮地に居合わせ、迅速な対応で救助のアシストをした男なんだ!清水先輩のファンクラブ第一号にして唯一の会員なんだ!お前らとは生きてる世界が違うのよ!」


「何訳わかんねーこと言ってんだよ!」


そう言って新入生の一人が石井をポカッと殴った。


「あぁ!暴力振るうなんて最低!石井君大丈夫?」


そう言って理佳子が石井の頭を撫でる。


清水先輩…僕は…殴られて幸せです。あぁ…この感触…もっと撫で撫でして…


「理佳子先輩!ごめんなさい!もうしませんので、電話番号教えて下さい!」


後に理佳子の正式?なファンクラブが結成され、下級生による会員は増え続け二桁代に登った。

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