第130話 学校見学会
2月14日、世の中はバレンタインデーという、女子が男子に想いを伝える絶好の機会…しかし、この日天斗達が通う学校ではオープンスクールという、言わばこれから入学予定の子達が事前に学校見学する行事が行われている日だった。この行事は秋に一度行われていて、進路選択の為に催されたが、再度進路が決まって仮登校的な希望者の生徒達の為に開かれるものだった。この日は土曜日なので学校は休校しているが、二年生の各クラスから数名ずつ手伝いとして駆り出されるのが恒例だった。
小山内は、成績評価が低いため自分の内申評価を上げるために自らこの手伝いに参加した。そして薫は小山内の天然ぶりが心配で付き添いとなり、天斗も小山内の道連れとして付き合わされることになった。
「小山内…今日はバレンタインデーなだぞ?よりにもよってこんな日にこんな面倒な行事に参加することねぇだろ?」
「黒ちゃん…俺がもし進級出来なかったら黒ちゃん寂しくねーのか?俺は黒ちゃんが居ないクラスなんて居たくねぇよ!」
小山内…お前の本心は重森の居ないクラスが嫌だってことだろ?俺をだしにすんじゃねぇよ…
「これで俺の内申が上がって有利になるなら、黒ちゃんだって嬉しいだろ?」
「はいはい、そうでしたそうでした…」
「そろそろ見学会に来る頃じゃない?」
薫が言った。
そこに担任の田中先生が歩いてくるのが見えた。
「おぉ、おはよう、今日は休みのところ悪いな。宜しく頼む」
「先生!僕は内申の為なら何でもやります!だから、絶対進級させてください!」
お…小山内…それはちょっと直球過ぎねぇか?
「小山内…お前の熱い想いはわかるが、もう少し頑張らないとちょっと難しいぞ。でも、最近お前少しテストの点数上がってきてるな…頑張りは先生も評価してるぞ!」
そりゃそうだろうよ…いつも上手いこと重森がテストの度に小山内をサポートしてるんだからな…
「はい!先生、俺凄く頑張ってますから…だから絶対に…」
「わかったわかった。まぁ、今日のお前の頑張り次第でちゃんと考えておくから…」
「はい!先生、俺頑張ります!」
その時職員室の方へぞろぞろと中学生達が歩いてくるのが見えた。
「おっ!早速お見えになったぞ。くれぐれも恐がらせ無いようにな!」
「はい!上官!」
天斗達の他にも各クラスのお手伝いが集まってきてお互い挨拶を交わす。
「宜しくお願いしまーす。宜しくお願いしまーす。」
「はい、おはよう、宜しくねぇ~」
そして各クラスの協力者が役割分担をして部活動や、教室、それぞれを人数を割って案内する。
天斗、小山内、薫は部活動案内に見学者達を引率し歩き出す。
「ねぇねぇ、あの人だよ…黒崎さんって噂の人…」
「だよね、だよね?すっごいドキドキする!」
「本物だよ、本物…」
「ここに来るのが待ち遠しい…」
「私、強い人大好き…」
「あの人凄く優しいんだって…」
「なぁ、後ろ随分ザワサワしてんなぁ…もしかして…俺のこと…」
小山内はありもしない自分への視線にニヤニヤしていた。
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