第93話 小山内の目の前に幼い子供
「天斗はねぇ、いつもいつも理佳ちゃんをお嫁さんにするの!って、理佳ちゃんのことがだーい好きって言ってたのに…急に理佳ちゃんが来なくなって母さん凄く淋しかったんだよ…」
ふと理佳子を見ると少し目に涙が…
「そうだったのか…それが理佳子の思い出して欲しいことだったんだな…」
「お前と理佳ちゃんはやっぱり運命の赤い糸で繋がってたのかねぇ?随分時を経てまたこうしてお嫁さんにしたいって…」
「いやいや、俺の口からは言ってないよね?母さんが婚約しろって急かしてるだけで…」
「でも、理佳ちゃんはその気みたいだよ?ねぇ?理佳ちゃん」
理佳子は下を向いて恥ずかしそうにはにかむ。
「たかと君…まだ思い出さない?」
「んー…どうしても記憶を遠ざけようとしてるのか…恐いってイメージだけが俺の頭の中に…」
そのときまたあのフレーズが《男はどんなことがあっても女を守らなきゃならないんだよ!》俺の頭をよぎる。
「なぁ、理佳子…俺が重森に怒られた言葉って…どんなことがあっても女を守れってやつか?理佳子を守れなった俺にもっと強くなって理佳子を守れってことか?」
「うーん…そうだね…でも…私は強くなくたって優しいたかと君が何より大好きで…別に気にしなくてもいいよ」
「でも…もし理佳子の身に何かあったら…やっぱり俺はお前を自分の力で守りたい!例えどんな状況でどんなことがあっても俺がお前を守らなきゃダメな気がする…」
「ありがとう、私凄く幸せだよ。そんなに大切に思ってくれて…ずっとその気持ち忘れないでね…」
「ちょっと~、母さんも居るんだから二人の世界に入らないでくれる?」
母さんが笑いながら言って
「ごめんなさい、おばさん…なんか恥ずかしい…」
理佳子が赤面している。
「もう母さんは俺と理佳子のこと公認なんだからいいだろ?」
母さんも理佳ちゃんが大好きなの!」
「はいはい、そうでした、そうでした…」
「清原~、そろそろ行くぞ!」
小山内が側近の清原勇樹に声をかけた。二人は小山内の家でタバコを一本吸い、それぞれバイクで仲間達の見舞いに病院に向かうところだった。
バイクのエンジンをかけて小山内が先頭で走り出す。
公園の横を走っているとき目の前に路駐している車があり、その車を避けて通る瞬間…車の陰からサッカーボールが転がってきた。
危ない!!!
小山内が急ブレーキをかけたそのとき、幼い子供の姿が見え、子供をかわした拍子にバランスを崩し
ガシャアーン!!!
転倒した。
清原が叫ぶ!
「きよちゃ~~ん!!!」
「理佳子、ちょっと街ブラしないか?」
「うん、いいよ。おばさんちょっと出てきますね」
「理佳ちゃん、もうお義母さんでいいのよ?」
母さんは笑って言う。
「おばさん…」
「母さん、理佳子は純情なんだからあんまりからかうなよ」
そのとき俺の携帯に電話が鳴る…
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