第19話 小悪魔、佐々木日登美

俺は何度もかけても迷惑かと思い電話をかけるのを止めた。

忙しい時に一方的に繰り返しかけられるのは相手にしてみればあまりいい気分じゃないもんな。

もし清水にその気があればかけ直してくれるだろうし。

俺は楽観的になって気長に待つことにした。






たかと君…

好きな人が出来ちゃったの?

そっちの学校で好きな人が…

私のことどう想ってるの?

初めから恋愛対象としては見られてない?

この間も手紙ありがとう、嬉しかったとは言ってくれたけど…たかと君の気持ちはわからなかったし…

ハァ~…

たかと君は何で電話くれたの?

薫は何であんなこと言ったの?

二人の間に何があったの?

もう頭の中がグシャグシャ…

切ない…たかと君の気持ちが…知りたい…


理佳子はため息ばかりついていた。


タカ…たかと君をここに連れてきて…お願い……





結局理佳子から電話来なかったなぁ…

電話をかけてからもう2日も経っていた。

あいつもう俺のこと…

他に誰か好きな男出来たのかな…

いや…その可能性は低いだろう…

あれだけ俺の知らない所で俺をずっと見ていてくれたんだ…あいつの一途な想いは疑っちゃいけないよな。




雲一つ無い青空の下、心地よい風を受けながら学校の教室の廊下で俺は窓際に立ち窓から校庭をボーッと眺めている。

もうすぐ夏休み前の学校祭が控えている。

みんなそれぞれいろんなイベントに備えあわただしく動き回ってる。

男子女子の賑やかな声が入り乱れ楽しそうな光景だ。

昼休みの時間ももう少しで終わろうとしてる。

そんな中、別のクラスの女子が俺の側に来た。


「あのぉ…黒崎君…ちょっと良い?」


2年1組の佐々木日登美だった。

俺は彼女とは話しもしたことがない。

いきなり何の用だろう…


「ん?何?」


俺は笑顔で返事をした。


「黒崎君ってぇ、彼女とか好きな人とか居るの?」


俺はすごく動揺している。

何故こんな質問された?

何でいきなりそんなこと聞いてきた?

居るよ。居る居る。めっちゃ恋しいやつが居るよ。

でも…今は…自信無くしてる…

どうしてあいつから連絡来ないのか…

あいつの気持ちがわからなくなってる…


「え?どうして?」


俺は曖昧な返事をし彼女の反応を見る。


「もうすぐ学校祭じゃん。一緒に行動する人とか居るのかなぁって…」


それって俺を誘ってんのか?


「いや、一緒に行動するのは野郎くらいだな(笑)」


「そっかぁ…じゃあ…黒崎君誘っちゃおうかなぁ…」


佐々木はそこそこ可愛い部類に入る。

そして甘え上手なところがあり、上目遣いに俺を誘惑してくる。

俺はドキドキが抑えきれない。


「え?えー?いや…でも…いやぁ、参ったなぁ…」


俺は照れながら頭を掻いた。

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