第18話 理佳子の憂鬱

清水~

いや、理佳子…そう、理佳子だ。あれほど俺のことを想ってくれてんだ…もう理佳子でいいや。

どうしても声が聞きてぇ…理佳子の顔を思い出すと切なくてしょうがない…

会いてぇよぉ…会ってあいつを抱き締めてぇ…あの華奢な身体をギュッと抱き締めてぇ…

理佳子~理佳子~


俺はいつの間にかこんなに清水のこと好きになってたんだな…

もしあいつが俺のことあんなに想ってくれてなかったら?

こんなに好きにはなってなかったのかなぁ…

でも、あの健気なところが堪んないんだよなぁ…

よーし!また電話かけてみるか!


俺は携帯を握りしめ番号を押す…最後の発信ボタンを…ピッ!


押したぁ~~~!ヨシ今回はすんなり行けたぞぉ~清水~




「プップップップップープープー」


全然呼び出さねぇ~~~こんなにドキドキしながらかけたのに話し中かよ!

クッソォー、誰だ俺と理佳子の邪魔をするやつわぁ…






理佳子は薫との電話を切ったあとセンチな気分になっていた。

薫は…たかと君と…デートしたんだ…私は…ちょっと話すことしか出来なかったのに…

私もたかと君の傍に行きたい…いつも傍で見ていたい…




そしてまた着信音…




理佳子はまた薫から電話があったのかと思い携帯の画面を見た。

そこには


たかと君


理佳子の心臓が急に高鳴りだし回りに自分の心臓の音が聞こえてしまうんじゃないかと思うほど大きな音を立てた。


ドッ、ドッ、ドッ、ドッ、ドッ、ドッ、ドッ、ドッ…


どうしよう…

どうしよう…たかと君から…本当に電話来ちゃった…

落ち着かないと…

ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…

息が上がってうまく呼吸出来ない…

早く電話に出なきゃ…どうしよう…落ち着かないと…

携帯を持つ手が震えて落としそうになる。

早く電話に出なきゃ…


そして着信音が止まってしまった。




理佳子~電話に出てくれぇ~…

俺はもう一度清水に電話をかけた…が、呼び出し音は鳴るのに電話に出ない…

今忙しいのかな…諦めて電話を切った。

こんなに勇気出してかけたのによぉ~、理佳子~…切ねぇよぉ…





たかと君から…せっかく電話来たのに…せっかく…でも、たかと君…もしかしたら…他に好きな人が居てその女性にプレゼント選んだんだとしたら…そんなこと知ったら私…


理佳子はかけ直す勇気が出ない。

彼と話したい反面複雑な想いが交錯する。

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