第15話 作戦変更

小山内は仲間の下へ走って戻って行く。


黒ちゃん…大丈夫だったのか?

まぁ、あの黒崎天斗ならあのくらいわけ無いだろうけど…

てか、俺の見せ場が無くなっちまったじゃねーかよ…

あいつが目立っちまってあいつに重森が惚れちまったら元も子も無いじゃねーかよぉ…




小山内が走って戻って来た。

仲間達がヤンキー座りでタバコをふかしている。

一斉にこっちを睨み付けてきた。

黒崎達が来たのかと思い構えた。


「なーんだ…キヨちゃんかぁ…」


「ちょっとトラブル発生で予定変更だ」


「何だよトラブルって」


「アイツらほんとに誰かに絡まれて数人倒れてたんだよ。このまま作戦強行するわけにはいかんだろ…」


「じゃあどうすんだよ」


黒ちゃんに連絡するのも不自然だしなぁ…どうしよ…

かといって、せっかく来てもらったコイツらそのまま帰すわけにもいかないし…うーん困った…








「重森…いったい何者なの?」


俺はこの無口で掴み所のない重森の裏の一面を目にして困惑している。


「フッ、覚えてないよねそりゃ…」


え?何のことを言ってるんだ?何を覚えてないというのか…

俺はこんな化け物全く知らんし…

そういや清水が従姉妹頼ってって…もしかしてこういうことだったのか?


「何のこと?」


「まぁ、いいよ別に」


それすごーく気になる言い方!そんな思わせ振りな言い方したら聞きたいでしょ!


「俺重森と知り合いだった?」


「…ほら、プレゼント探しに行くんでしょ?」


すごく中途半端にはぐらかされてモヤモヤが取れない。

てか、そうだ!やっべぇ!小山内達に何の連絡もしてない…作戦が…


「悪い、ちょっと電話してくるから待ってて」


そう言って俺は小山内に電話をかけに行く。




黒ちゃんどうすりゃいいんだよ…コイツらどうすりゃいいんだよ…

何でこんなことになるんだよ…

小山内は両方の板挟み状態にイライラが隠せない。


そのとき…着信音




「もしもし、黒ちゃんか?」


「ごめんなぁ~、ガチで数人に絡まれちゃってさぁ、ちょっと遅くなっちまった」


「それは知ってる、さっき様子見に行ったら倒れてるやつ見たから…まぁ、黒ちゃんならあのくらい楽勝だろうけど」


小山内…あれ俺がやったと思い込んでるのか…まぁ、それはそれで都合良いんだけど…


「で、これからどうしたらいい?」


「うーん…参ったなぁ…せっかく休みにアイツらに来てもらったんだけど…仕方ない…謝って帰ってもらうわ…」


「それでこの後は?」


「上手いことさぁ、俺と合流して行動するってどう?」


「ま、それが一番良いよな。小山内がメインの作戦だし」


「じゃあ、偶然装ってあそこのデパートの本屋で合流で」


「オッケー」




とりあえずアイツらには申し訳無いが今度埋め合わせするってことでお引き取り願おう…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る