第12話重森の意外な一面

多分、重森は清水の従姉妹なはず…

そこをきっかけに切り出して話が出来ないわけではない…けど、やっぱりあの取っ付きにくい重森と話すのはなぁ…

相談には乗ってやりたいとこだけど…


「黒崎さん何か話したことある?」


「いや…一度も返事されたことも目を合わせてもらったことすら…」


「そうか…どんな男がタイプなのかなぁ…」


うーん…普段何も喋らんし、誰とも仲良くする気もないみたいだし…得体の知れない女だからなぁ…


「黒崎さん…さりげなく聞いてみてくれよ…」


「そ…そりゃ無理な相談でしょう!目すら合わせてもくれないのに…でも、あぁいう大人しいタイプって意外にけっこう強い男に惹かれるんじゃないかな?」


「ちょっと俺に力貸してくれないか?」


「何すればいいのさ?」


小山内が俺にある作戦を打ち明けた。






数日後


重森はいつも一人で行動する。

俺は彼女をつけて行った。

一人きりになるところを声かけてみるからだ。

重森は図書室に入っていった。

重森が本を手にして席に座った。俺も隣に座って重森の顔を横から覗く。


「あの…」


重森は迷惑そうにこっちを見た。


「あの…ちょっと頼みがあるんだけど…」


重森はジーっとこっちを見て


「何?」


あからさまに迷惑と言わんばかりのオーラで返事した。


「あの申し訳無いんだけど今度ちょっと付き合ってくれないかな?」


「何で?」


マジでつんけんするよなぁ~この女…ほんと絡みずれぇ~


「あのさ…俺…好きな娘にプレゼント買いたいんだけど…女の子の好みってよくわからんくてさ…それでちょっと付き合って欲しいなぁ~って…」


重森はしばらく考えているのか沈黙している。


「いいよ、いつ?」


え!?マジで!?意外にこいつ良いやつだな。

思わぬ反応に拍子抜けしてしまった。


「じゃ、じゃあ…今度の日曜日とか空いてる?」


「いいよ、何時にする?」


「午前9時頃に○○○駅でどう?」


「わかった」


おぉ~ーー!重森のこと俺ちょっと思い違いしてたのかなぁ…

こんなに素直に頼み聞いてくれるなんて、イメージが完全に引っくり返ったわ。


「ありがとう!じゃあまたね」


そう言うと重森はすぐに本を開き読み始めた。

さっそく俺は小山内の所に走って伝えに行く。




小山内、小山内、小山内…おっ…居た居た。

廊下で待っている。


「おぉーい!」


俺は興奮して息を切らして小山内の下へ駆け寄った。


「黒ちゃんどうだった?」


俺にヒミツを打ち明けた小山内はすっかり俺に心を開いてる。


「OKだったぞ!」


俺は興奮を隠せない。あの重森があんな反応するとは想像しなかったから。

そして小山内もまた目を見開き両手拳を胸の辺りに持ってきて天高く突き上げながら


「よっしゃあ~~~!」


大声で叫んだ

回りに居た生徒全員が一斉にこちらを振り返る。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る