童貞なオレと非処女なワタシ
豆腐もち
第1章 過去 (佐藤風吹 編)
『じっ、自分と付き合って下さい!』
中学3年の春。桜が満開な公園の一角でオレは1年の頃から一目惚れしていた同級生、北原瑞稀に全力で告白した。瑞稀は一瞬戸惑った顔をしながら答える。
『えっ⁉︎ごめんなさい。佐藤くんとは付き合えない。』
オレの初恋はあっさりと破れた。
内心イケるんじゃないかと心のどこかで思っていた。
今思えば瑞稀と初めて会ったのは、中学1年の頃だ。オレの通う中学校は学区内に2つある小学校から生徒が進学してくる。そのため、彼女とは小学校が別だった。瑞稀とはクラスは違がえど、委員会は同じだった。そのため、結構な頻度で顔は合わせていたが、話をしたことがそんなになかった。あると言えば、委員会関係で話すくらいだ。
ある日の放課後、委員会活動の件で書類を瑞稀と一緒に担当教師に渡すために運んでいる途中、ふと彼女が話し掛けてきた。
『佐藤くん。私ね、この間親にiPhone買ってもらったんだ。佐藤くんってスマホとか持ってる?』
『えっ⁉︎あ、うん。持ってるよ…』
『えっ!本当に!じゃあさ、よかったらあとでLINE交換しようよ!』
彼女は満面の笑みを浮かべて言ってきた。
その後、オレと瑞稀は委員会活動を終え帰宅するために学校を出た。
彼女と別れ間際にLINEのIDを交換した。
『これで佐藤くんと、学校以外でもお話できるね!じゃあね!また明日!』
オレは夕焼けを背景とし、彼女の後ろ姿を自然と目で眺めていた。その日はどうやって家に帰ったかなんて覚えていなかった。
その後は彼女とLINEでやりとりをしていく中で彼女自身、彼氏もいなく好意を抱いている相手もいないとのことだった。
オレは気づいたら北原瑞稀のことが好きになっていた。
3年に進級して瑞稀に彼氏がいなかったら告白しようと心で誓った。
◆◆◆
が、、、、今オレは振られてしまった、、、、
オレは瑞稀になぜだめなのか理由を聞いた。
すると、瑞稀は少し引き気味に答えた。
『えっ⁉︎だって佐藤くんっていつも寝癖付いてるし、私服ださいし、暗いし、なんかTHE童貞って感じがするんだよね…だからごめんねっ!』
たしかにオレはいつも身嗜みを気にしてなかったし、服なんて着れればなんでもいいって思ってたし、陰キャだし、当然ながら【童貞】だ。
その後、どう彼女と別れ帰途についたか覚えていない。オレは自宅の姿見で自分の容姿を再認識した。
そしてオレは決意する!
高校では変わってやる! と…
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