第13話 不安な時は、誰かと一緒に
「うーん……」
熟睡中に寝返りをうったアカリ。ヒナタがいた側へと寝返りをうった時、人のいる気配と布団の温もりがないことに気づいて、うっすらと目を開けた
「あれ?ヒナタ……」
薄暗い部屋の中、ベッドをバンバンと叩いてヒナタを探すが、手に当たるのは布団だけで、ヒナタは見つからない
「……トイレかな?」
そう思い、部屋の中にあるトイレへとトボトボと歩きだしたアカリ。電気がついてなさそうなトイレに少し不安を覚えつつも、そーっとトイレの扉を叩いた
「ヒナタ?ここにいるの?」
恐る恐る声をかけても、返事が帰ってこない。しばらく扉の前で待ってみても、返事も出てくる気配もない。仕方なく、そーっとトイレを開けて、電気もつけずキョロキョロと中を見渡してみても、誰もいないことを確認すると、慌てて部屋の中をウロウロと動き回ってヒナタを探す。クローゼットや窓を開けたりベッドの上を歩き回ったりと、どこを探してもヒナタは居らず、少しパニックになったアカリがバタバタと大きな音をたてて、部屋の扉を開けた
「誰か!ねえ!」
突然聞こえてきたアカリの叫び声に、ちょうど二人の様子を見ようとしていた家政婦達が慌ててアカリの所に走ってく
「アカリ様、どうしましたか?」
「ヒナタがいないの!さっきまで、一緒に寝てたのに!」
家政婦に抱きしめられ震える声で叫ぶアカリ。戸惑いつつも二人の寝室を開けると、電気をつけて部屋の中を探し回るが、やはりヒナタの姿は見当たらない
「私、レイナ様を呼んできます!」
そう言うと、数名の家政婦達が部屋をバタバタと音をたてて出ていった
「ヒナタ……ヒナタ……」
「アカリ様、大丈夫ですか?」
気持ちが落ちつかず、震えるアカリを抱きしめて落ちつかせる家政婦。ヒナタがいないと報告が届いたの、家のあちらこちらから、バタバタと物音が聞こえてくる。その中から、段々と大きく足音が聞こえてくる
「アカリ!ヒナタ!」
足音と共に叫び声が聞こえ、振り返るアカリ。レイナの姿が見えるなり走って駆け寄ってく
「お母様……ヒナタが……」
勢いそのままレイナに抱きついて、泣き出したアカリ。そのまま抱きついたまま一緒に部屋へと戻ると、レイナが部屋の中を見渡している
「みんな、家の周りにいないか探してくれる?」
「わ、わかりました」
アカリの側にいた家政婦達が、急いでヒナタを探しに行った。二人きりになった部屋に、アカリの泣く声が響く
「ごめんなさい。私が気づかなかったから、ヒナタが……」
「大丈夫。きっと、少しお庭をお散歩しているだけよ」
強く抱きしめていると、二人の様子を見に来た家政婦が部屋には行ってきた。部屋に入るなりすぐ、レイナが家政婦達を呼んだ
「悪いけど、アカリの分のお茶を持ってきてくれる?」
「はい、わかりました」
レイナにお辞儀をして、来た道を戻ってく家政婦達。まだ家の中はドタバタとヒナタを探す音が響いている中、アカリがレイナの服をぎゅっと掴んだ
「お母様から貰った本……どこに行ったの?」
その頃、ヒナタは一人暗闇の中を歩いていた。ガサガサと木々が揺れる音が響いているその音を便りに、歩を進めている
「あの本は、私とアカリの……」
と、持ってきた本をぎゅっと強く抱きしめると、それに反応するように本が突然、眩しく光を放った。暗闇の中突然の明かりに、慌てて手を伸ばし、その本を体から離すと、本が独りでにヒナタの前にふわりと浮かんだ
「私と一緒に探してくれるの?」
ヒナタの質問に答えるようには周りをグルグルと動き回る本。その様子を見たヒナタがクスッと笑って本を取り、優しく抱きしめた
「ありがとう。じゃあ、アカリが起きる前に一緒に本を探しに行こう」
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