第4話 それは、想いとは裏腹に
「お母様……ヒナタは大丈夫なの?」
寝室に戻ってきたアカリ。ベッドで眠るヒナタを見て、力なく呟いた
「ええ、お医者様にも見てもらったでしょ?悪い所無く、寝ているだけって言ってたから大丈夫よ」
「……でも」
レイナの言葉を聞いても、不安が拭えないアカリ。ぎゅっと強く手を握りしめ肩を震わせた
「私がヒナタを誘って、お部屋抜け出したからヒナタが……」
話をしながらグスグスと涙を流してしまったアカリを、優しく抱きしめるレイナ。その温もりに涙が止まらなくなったアカリの涙を堪えている声が部屋に響く
「アカリも、もう寝なさい。沢山泣いて疲れたでしょ?」
「でも……」
「ヒナタが起きた時、アカリが悲しい顔してたら、ヒナタも悲しむでしょ?」
「そうだけど……」
レイナの話にそう返事をすると、ヒナタを見るアカリ。二人の話し声にも起きることなく眠り続けているヒナタを心配そうにレイナと共に見つめる。二人の様子に、部屋の隅で見守っている家政婦達が、心配そうに顔を見合わせていると、アカリがレイナをぎゅっと抱きしめ返した
「……ヒナタと一緒に眠る」
「……そう。いい子ね……」
少し震えているアカリを宥めようと、優しく頭を撫でるレイナ。しばらく撫でていると、少し気持ちが落ち着いてきたのか、ベッドで眠るヒナタを起こさないように、ゆっくりと隣に移動して、布団の中に潜り込んだ
「おやすみなさい。お母様……」
「おやすみ、アカリ。いい夢を見るのよ」
ゆっくりと頷いて目を閉じると、すぐに眠ったアカリ。ヒナタと共に聞こえる寝息にレイナだけでなく、家政婦達もホッと胸を撫で下ろしている。起こさないように、そーっと部屋の入り口まで移動すると、二人の眠る姿を見ながら、音をたてないように扉を閉じた
「ヒナタとアカリはどうしている?」
「二人とも眠ったそうです。アカリ様は、大分泣いていたそうですが……」
「そうか……二人には大分悪いことをしたな……」
その頃、まだ書庫にいたクロスとノアが二人きりで話をしていた
「きちんと魔術が成功したら、本にまとめる予定だったが、どうしたものか……」
と、ヒナタの本をめくりながら、クロスが大きくため息をついた
「ヒナタ様には、新たな本を渡すのですか?」
「そうだな。あの本よりも、少し高価な本を渡さないといけないな」
ノアに返事をしながらクスッと笑うと、本をパタンと閉じて、また一つため息をつくと、書庫にある本棚から周りにある本から少し新しめの本を一冊取り出して、ノアにその本を手渡した
「それじゃあ、ヒナタのために、急いでこの本の持ち主を変更する魔術でもはじめようか」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます