やあ! 僕う○こ!

大和田大和

やあ! 僕う○こ!

ぶりぶりぶりぶりぶりっ!

豪快な音とともに、俺は異世界に産み落とされた。そこは透き通るような草原の中。

ボテボテっ!


俺に対して、黒髪のクソ可愛いエルフが、

「ようこそ異世界へ! 転生者様…………えっ? きゃあああああ! う○こ! う○こが転生してきたわ!」

クソでかい叫び声をあげた。それもそのはず、転生者が来ると思っていたらう○こが転送されてきたんだ。

びっくりして当然だ。


続いて、猫耳の少女が、

「いやあああああああ! うんこよ! うんこがワープしてきた!」

と、悲鳴をあげた。


周囲からはあちこちから悲鳴が上がる。

みんな一様に鼻を摘み、その場から離れる。


俺は、うんこでできた体を変形させて、目と口を生み出す。そして、

「シット!」

大きな声で叫んだ!



第一章うんこマン!


俺は異世界転生者のガイド役であろうエルフに、神殿のような場所に連れてこられた。


神殿にはプリーストっぽい人がいた。この人が転生者に職業を与えるのだろう。


プリーストは、

「こんにちは! 転生者様! ではこれから早速職業の方を……うわっ! くっさ! くっさあ!」

鼻を摘みながら、むせた。

「失礼な! うんこなんだから当然でしょう!」

「そ、そうでしたね。失礼しました。くっさおぇ(小声)」


プリーストは鼻を摘みながら、

「では職業の方を選んでください! えーと今ある職業は……あれ? “生きたうんこ”しかないですね……変だな……」

「さっき転生するときに、女神様から『もう職業はうんこしか残っていないけどどうする?』って聞かれました!」

俺はクソ元気よく言った。


「そ、そうだったんですね。っていうかその質問に『!』って答えたんですか? うんこになるのを承知で異世界転生してきたんですか?」


!」

俺は元気よく言った。


「そ、そうですか……では今日からあなたはうんこです! 街にある酒場でパーティーを組んで魔王討伐を目指して頑張ってください!」

「あの……?」

「なんでしょう?」

「僕、うんこなんですけど……うんこってなんらかの役に立つんでしょうか? 

誰かパーティーを組んでくれる人がいるとは思えないんですよね……どうすればいいですか?」


「…………」

静寂が周囲を綾なす。


一頻り静寂を楽しんだ後、プリーストは俺の質問をシカトして、

「では! 今後のご活躍をお祈りしておりますっ!」

俺を神殿の外に追い出した。


俺はうんこでできた体をニョロニョロ動かしながら、酒場に向かった。


「なんだよ! くそっ! シット! 企業のお祈りメールかよ! 

でもしょうがねー! この体でなんとかやっていくしかない!」

ブツクサ文句を垂れながら、酒場の木扉を勢いよく開けた。


そして、

「やあ! 僕うんこ!」

大きな声で自己紹介をした。

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