うしろを見るな
☆STEP 1
フレドリック・ブラウンです。いや、SFの人だろうというかたもいらっしゃるかもしれませんが、ちゃんとミステリも手がけています。
この人の題名は素敵なものが多い印象。当然、作者本人のセンスもあるのでしょうが、訳者のかたの力量も大きいのではないかと推測しています。
あらすじ紹介は、今回はよしておきましょう。
まずは「見るな」から取りかかることにします。初めて登場する「××するな」です。否定の命令とでも言えばよいのでしょうか。おそらくは【don't】だろうと。「見る」はきっと【look】であろう、と。「うしろ」は【back】かなぁ。お、案外、簡単にパーツは出そろいました。
☆STEP 2
Don't look back!
で、どうでしょうか? 実はお蔵入りにした原稿で、感嘆符をつけて失敗したもの(『火星人ゴーホーム』諸事情によりボツ)がありましたが、今回はついてそうな気がします。
☆STEP 3
正解は……
Don't Look Behind You
でした。
いい線いっていたようです。にしても【behind】とはいかに? スポーツなどで「何点のビハインド」といったように「後塵を拝する」ではないですが、遅れをとっている、という意味で使われるので「後ろ」のニュアンスはわかります。推測はここまでにして辞書にあたります。
なるほど、「~の後ろに」と場所を示す単語のようです。内容をふまえると確かに【you】があったほうがいいですね。
動詞が早めに来るという英語特有の順番が実に効いていて、無理矢理、日本語にして並べると「よせ、見るな、後ろだ、お前の」でしょうか。決して「あなたの後方を見てはいけません」ではない。
おまけ
後塵を《背》するだと思っていた私は、英語以前に日本語からしてあやしいことが判明しました。
現在、この「うしろを見るな」が読みやすいのは、創元推理文庫から出ている短編集『真っ白な噓』。最近、新訳が出ました。私は古本で買った旧訳版で読みました。新訳もきちんと買って、両方、持っていますが、新訳版で「うしろを見るな」を読んでいません。
まだ読んでいないあなたが読む「うしろを見るな」と、私が読んだ「うしろを見るな」は、もしかしたら違うのかもしれません。
読んだ方はおわかりでしょうが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます