勇者パーティーに捨てられ魔王の配下に拾われました。

枝豆@敦騎

第1話 勇者パーティーに捨てられる

「おいミア!強化魔法はどうした!?」


怒鳴り声が飛ぶ。


「……!」


手を伸ばし人体強化魔法を発動させようとするが何も起きない。

それどころか体の力が抜けて私は座り込んでしまう。


魔力切れだ。


カラン、と音を立てて杖が落ちる。


「おい!?ミア!?」

「魔力切れですわ!ユウキ様、このままでは私達もやられてしまいます!」

「くそっ、役立たずめ!逃げるぞ、撤退だ!」


その言葉に仲間達が一斉に駆け出した。

私は慌てて傍にいた仲間の裾を掴む。



待って、置いていかないで、立てないの!肩を貸して!



「離せっ!この役立たず!」

「っ……!」


掴んだ手は蹴り飛ばされ踏みつけられてしまう。


なぜ?どうして!?私達は仲間なのに……!


痛みに顔を歪めながら見上げると、こちらを睨む少年の顔。


「元々王様からお前を殺すようにって言われてるんだ!醜い裏切り者はさっさと魔族にやられてしまえ!」




……っ!?お父様が私を……?

どうして!?私、裏切ってなんかない!

民の為に、お父様の為に、頑張ってきたのに……!



言葉と共に頭が蹴り飛ばされる。

髪を伸ばし隠していた顔の右半分が晒された。


この部分は子供の頃に火傷を負い、皮膚は変色して引き吊っている場所。

醜いとはこの事だろう。


思わず顔を押さえると今まで仲間だと思っていた少年は私から離れていく。



待って……いかないで……!

私はあなたの……勇者様の仲間なのに……こんなのってない……!



視界が霞む中でこちらに近付いてくる足が見えた。敵のものだろう。


蹴り飛ばされた頭が痛い、魔力も尽きていて逃げることもできない。

このまま私は殺されるのだろう。



死を覚悟しながら私は意識を手放した。


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