第11話 映画館デート

 久しぶりにカナタが休日をとれたというので、映画館デートをした。


 「楽しみだね」


 「何見る?」


 「この恋愛映画が見たいなぁ」


 「よしきた」


 俺はカナタとさりげなく手をつないで映画館へと急ぎ、飲み物と食べ物を注文する。


 そわそわとしている彼女はなんだか小動物みたいだ。


 可愛い。


 今日はセクハラはしないでおこうっと。


 映画の中盤。


 濡れ場。


 もっと言えば結構激しいエロシーンがあった。


 ……き、気まずい……。


 ちらっとカナタの方を見ると、今にも泣きそうな瞳でおそらく顔を真っ赤にしているカナタがいた。


 俺は彼女の頭を撫でると、彼女はうつむいていた。


 映画上映終了後。


 「す……すごい映画だったね」


 「……おう……手、つなごうか」


 「う、うん……」


  しばらくの沈黙の後で、彼女は上目遣いで聞いてきた。


 「あのさ、ソウタって……さ」


 「うん?」


 「いつか、ああいうことしたいの?」


 「そうだな」


 「そっか」


 「大丈夫だ、襲ったりしないよ」


 「そうか、そうだよね」


 エヘヘと笑う彼女を見て俺は思った。


 クッソムラムラする。


 俺はさりげなく腕を絡ませてくるカナタに対して理性を限界まで働かせるのだった。


 

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