第52話 夫、ワクチン懐疑派から反ワクチンになる?

 当初、夫はmRNAワクチンに対して「長期的データが無いから不安」と言っていた。それに対して一理あると書いた(第35話参照 https://kakuyomu.jp/works/16816452219629036093/episodes/16816452220496655706


 しかし、ワクチン接種が進むニュースや「医療関係者でもないのに抜けがけした」的なニュースが流れ出した頃(後に河野大臣が『廃棄するくらいなら順番超えても打ってください』と呼びかけてこの手の報道は無くなる)、夫は一言。


「ワクチン被害の報道はなんで黙殺されてるのかねえ!」


 ……新たなネタ、もとい陰謀論を仕入れたようだ。確かに反ワクチン派と思われる「接種した看護師は泡を吹いて倒れて絶命していた」という週刊誌報道やら出処不明の足や顔が腫れた写真がTwitterに出回っていた。

 週刊誌報道は知らないが、写真はスマホの画面でもわかるほど画質が悪く別の疾患の写真を流用したのがわかる。


 これに乗せられたか、〇ノ〇ニュースを鵜呑みにしたか。


 夫、どこまで中二病なんだ。


 とりあえず反論をできる範囲で行った。


「あのな、副反応ガーと言うが副作用やリスクはワクチンだけではない」


「分かってるよ」


「全身麻酔にリスクあるの知ってた?」


「?」


「その分じゃ手術同意書もロクに読んでないな。全身麻酔も確率低いが、事故があって後遺症や下手するとあの世へ行く。私は何回も麻酔を受けて手術したよ。でも生きてる」


「だからそれは……」


「見知らぬ人への副反応を『心配』して騒ぐなら、身近な人への医療行為のリスクを目の前のスマホで検索して、一度くらいご心配して欲しかったわね」


 夫、黙り込む。


 教訓・どんな医療行為や薬にもリスクある。承認されたからといって百%安全ではない。陰謀論者は切り取って拡大する。


 しかし、まだまだ中二病は治らない。

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