第39話 達見さん、神経すり減りスピードが上がる

 とりあえず折れた心はアロンアルファでくっつけて日常に戻った。しかし、神経はすり減る一方である。看護師ハマダさんにもはぐらかされ続けたこと、もう一人の友人が家庭の問題ぼっ発と彼女の病気発覚と心配事もあった。病気は絶対にストレスだろうなと思う。


 そして私の勤務する職場でも感染者が出た。家族間感染であったが、彼は若いためか無症状、それに長期在宅勤務に入っていたため職場には出勤していない。当然だが職場内に濃厚接触者はいなかったのは不幸中の幸いだった。


 うちの職場は関東エリアでも第一号が昨年十月だか十一月に出たから、窓口業務ながらある意味岩手県並の鉄壁のディフェンスであった。しかし、さすがに第三波の勢いに押されるようにじわじわと感染者のお知らせが時々回るようになってきた。


 さすがにワクチンができたと言っても、日本に来るにはまだ治験やら承認やら時間がかかる。

医クラの皆様はもどかしく思ってたようだが、日本人というかアジア系人種独特の副反応出たらまずいからそこは仕方ないと思う。


 サブスクのマスクとは別に二回目のSHARPマスクの当選案内が来たので備蓄用に二箱買う申し込みをしながら私は夫に聞いた。


「どうしてもマスクしない?」


「しない」


「職場でちらほら患者が出てきたよ」


「しなくても平気だよ」


 つくづく「自分は大丈夫」という謎の自信というか過剰な正常性バイアスはどこから来るのだろう。不摂生で入退院繰り返す患者もこういうタイプが多いとハマダさんから聞いた事ある。

 で、ぶり返して、病院へリターンズするか退院が延期になるそうだ。


 そして相変わらずYouTube。最近はカブを買ったのでリアル「スーパーカブ」状態である。私はくどいようだが注意欠如型ADHDなので免許は取らないと決めてある。

 この歳になると「え?!免許無いの?」と驚かれるが、空間距離を掴むのが苦手という致命的欠点があるのだから、ガードレールに擦るだろうし、人を傷つけるよりは不便を取る。


 まあ、ネトウヨ動画やデマ動画ばかりよりは健全だ。他に分散させるものがあるのはいいことだ。だがしかし、陰謀論はまだ信じている。人は一度信じたらそれが正しいと固定される。否定されるとアイデンティティも否定されると思っている。


 どうやってもマスクはしない、飲みに平気で行く、義実家は隣の市だからと正月も帰省して会食してた。ちなみに私は本物の風邪引いてパスした。

 お義母さんの料理を余ったから持ち帰って食べた時は感染を覚悟したくらいだ。拒否したら「俺の酒が飲めねえのか 」の別バージョン、「俺のかーちゃんのご飯はまずいのか」になる。

 いえ、お義母さんはお料理上手です。普段なら喜びます。しかし、今回は義実家という密室の複数人の会食。当然飛沫浴びまくってます。万一コロナウイルスがあったら……。二週間、神経がすり減りました。良かった、全員陰性だったようだ。


 ちなみに前回のクリニックで抗うつ薬の量が増えました。何かのニュースで見たけどコロナ鬱というやつですね。私の場合は以前からの奴と複合してるから厄介だ。

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