第36話 あー、何が起きるのかしらねえ(棒)

 私は読み終えた峰宗太郎氏の本を差し出し、「とりあえず読みなさい」と言った。

 高学歴理系な夫はちゃんとRNAの原理というか定義はスラスラと出てくる人だが、キチンと読ませて正しい知識は得させないと。


結果、空振りでした。「原理は分かったが、長期的データが無い以上は信用できない」ですと。


 大統領選に話を戻す。トランプ氏が持てる権限を使い尽くし、裁判も負けや請求却下がほぼ決まり、バイデン氏が勝利となった。就任式は確か一月二十一日。なんで覚えてるかというと夫が「バイデンは大統領になれないよ、二十一日に何か起こるから」とドヤ顔で吹いていたためだ。


 確かにトランプ支持派の暴徒がホワイトハウスになだれ込んだことが数日前にあった。さすがに警備は強化するだろう。それともまた「マスコミが報じない真実」とやらを二十一日に暴露でもされるのか? どうせ〇〇〇ニュースが情報源だろう。


 バカバカしいと呆れつつ、わざわざ翌日に休暇を取ってまで大統領就任式に食い入るようにテレビを見る夫を後目に私は明日の夕食を作っていた。夫は徹夜する気満々だ。


 最近帰りが残業続きで帰宅が九時や十時近くになる。おでんなら今仕込めば明日には味がしみるし、時短になる。作り終えたのは十二時近かったが、まだ夫はテレビを観ていたので先に寝ることにした。日本人なのになんでここまで熱中するのか理解できない。


 そして、これと分断に(既に分断してるが)繋がる伏線になるとは予想しなかった。

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