【とりあえず完結】夫が陰謀論にハマり反ワクチンノーマスクとなってしまった
達見ゆう
第1話 一月中旬 心配性の私
「コロナコロナと騒ぎすぎ。たいしたことないよ。俺、もうマスク付けないからね」
去年の梅雨時前後、夫は突然言い出した言葉である。それから「コロナはただの風邪」と主張し、ノーマスクを貫いている。
他にも陰謀論を主張し出して混乱した私は記憶や事実を整理するためにこのエッセイを書き起すことにした。
つまりこれは「新型コロナ禍の備忘録」でもあるが、同時に「陰謀論という大人の中二病拗らせた夫とそれを黒歴史にしてやろうとする妻のバトル日記」でもある。
あれは令和二年の一月十七日と記憶している。
中国の武漢で新型肺炎が流行しているとのニュースが流れていた。そして国内感染者が初めて確認されたとの一報が入ってきた。しかし、人々は十年前の新型インフルエンザみたく大したことない、上陸してもすぐに収まるような雰囲気が流れていた。
花粉症の私はドラッグストアで悩んでいた。
「うーん、個包装の三十枚入りは携帯に便利。しかし、コロナウイルスの心配もあるから夫と分け合うことを考えたらシンプルに箱入り五十枚か」
私は国内の企業や工場を応援したいから国産派である。そのドラッグストアに売っている国産マスクはその二種類であった。しゃがんで悩むこと十分。私は五十枚入を買い、夫にも通勤時に着けるように命じた。
舌下免疫療法にて花粉症が劇的に改善し、マスク不要となっていた夫は渋ったが「都心勤めなのだから念の為に着用しなさい」との言葉で渋々と了解してくれた。「大袈裟なんだから」
そしてついでにキッチン用アルコールの詰め替えも買った。これらは先見の明ではない、本当に偶然であった。
この二日後からマスク狂想曲が始まることになる。
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