独白、月明り

心臓が脈打つ度に覚えている

静かな夜と 冷えた足先

息をする度に覚えている

朝の匂いと 手の温もり


抒情であれば ここで言う

この生活が続けばいい

しかし目に映るこの光景

表そうにも困るのだ


珈琲、本棚、安楽椅子、

暖炉に爆ぜた薪の音、

キッチン、木の椅子、マグカップ、

開いたままで置いた手帳

表そうにも困るのだ


窓際、積もる雪の中

目に付いたのは 晩翠の宝石色と月明り


抒情でなくても ここで言う

それはただただ美しい

儚く溶けて消えてゆく 白雪だから美しい

表そうにも困るのだ

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