おいで

鏡越しに君を見ている

咲いていた窓際の花瓶が

私みたいに ただ一人、夜に佇む

君は泣いていた


鏡には映らないから

私は思い出すことが出来ないな

ただ一つ、願うのならば

君の涙を拭いたいのだ


おいで 温かく抱きしめてあげるよ

そう出来たら君は笑うのかな


私のそばに おいで

楽しい話をしてあげよう

笑えばほら、ちょっとだけ忘れているだろうから

悲しいことを


鏡には映らないから

私は伝えることが出来ないな

ただ一つ、叶うのならば

君に言葉を贈りたいのだ


ほら、灯りを点けて 椅子に座って

手を合わせて 花を飾って 笑って


おいで 温かいスープを食べようよ

私はほら、見ているだけでいいから


私の傍に おいで

楽しい話を聞かせてよ

満たされたら、ちょっとだけ忘れているだろうから

私のことを

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