ボトルシップ

それに心奪われたのは あの町を訪れたときだ

港から離れた浜辺に 打ち上げられていた


寄せ波、潮騒、僕は知らない

海の匂い、割れた貝殻の色


それに心奪われたのは 僕に心が無かったからだ

無かったのに奪われたんだ 穴を塞ぐように


引き波、足裏、砂を攫う

僕の心も連れてゆく


小さな世界だ


麦藁帽、船底、魚影が一つ 

見えた気がした

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