押し花の市
ワンピース、赤のサンダル、麦わら帽子。
あなたは花を摘んでいる。
僕は歩み寄る。足元の花に目もくれず。
ただあなたを見つめながら。
紅い頬、あなたがこちらを見る、破顔。
手に持った花の輪を 僕の頭に乗せて立つ。
僕を置いて、あなたは行く。
その記憶。
僕は花を摘んでいる。
あのとき潰した花の輪郭を今でもはっきり憶えている。
その記憶をこうして安売りしているのだ。
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