擬人化シリーズ
なまけ猫
あるサラリーマンの悲劇
窓から朝日が降り注ぐ。目を覚まし、朝食をとる。集合住宅に住んでいるため、他の家庭も同じく朝の準備をしているようだ。少しゆっくりして、今日も仕事に出かける。他の家からも続々と出勤のためにでてきて、黒い集団となったかと思えばちりじりになっていく。
散っていったあいつらもきっと同じ仕事なのだろう。まぶしい日差しの中、駆けずり回り結果を出す、ただそれだけの事。今日も結果を残すため、せっせと歩き回る。昨日までの仕事は片が付いたので新しい仕事を探す。
ひたすらに歩き回り、昼前頃にターゲットを見つけることができた。ただ、ひとりでは手に負えないため、他の人にも手伝ってもらうことにする。本日の仕事は終わらなかったが、自宅へ帰るとする。いろいろと歩き回ったし、今日の仕事を見つけてからも奮起したため、へとへとである。自宅に帰ってすぐにベッドに倒れこみたいくらいだ。そんなことを考えながら帰路につく。
家が近づいてきたころ、上空には暗雲が立ち込めていた。家に入ろうとしたその刹那、家の中に何か大きなものがすごい勢いではいって行くのが見えた。ガスッ、ガスッという大きな音を立てて出入りしている。足元に違和感を感じて見てみると、いつの間にか大きな水溜りが出来ていた。大きな音が止まったと思っていたら、今度は玄関から大量の水が注ぎ込まれている。しかし、泳ぎが得意でない自分は助けに行くことはできない。続々と同士が出てくる。家族が出てこないとはらはらするものも多くいる。
気が付けば、空は晴れ渡っていた。家の中を満たしていた水も引いていた。家族を失ったいたものもいるが、被害のなかった部屋もあった。
しかし、ここに住み続けることはできない。早急に住処を作らねばならない。住処を作るのも簡単ではない。時間はかかるし、何より黒い影が近寄ってきて、押しつぶされることがある。その危機を回避しながら、時間をかけて作らねばならない。
蟻たちの苦労は命ある限り、続くのであったー。
擬人化シリーズ なまけ猫 @ASUKA-MOFU2
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