ログアウト
進化を済ませた僕はすぐに街へ入りギルドへ出向き、ギルマスに
・ゴブリンの里が壊滅していたこと
・その犯人であろう氷鴉を発見したこと
・氷鴉と交戦したこと
を報告した。
やはりギルマス的にも驚く様なことだったらしく、
『大変じゃー! 冒険者を集めねば! おそらく敵は金級の氷獄鴉コキュートスクロー。今いる冒険者のレベルでは勝てそうにもないの…… やはり移住者プレイヤーの力を借りねば』
とかなんとかブツブツ言いながら、クエストの準備を始めた。
やはりアイツは強敵だったっぽい。確かに前世のパーティーでも勝てるかどうか微妙なレベルだったしね。
『そうじゃライト、お主への報酬は状況を鑑みて当初の三倍で予定しているがいいかの? 』
そう言うとギルマスは机から麻布袋を取り出した。中には銅貨と少々の銀貨が入っていて、受けとるとかなりの重量を感じる。
『それとそうじゃ……お主にも戦闘への参加も重ねて頼みたい。―――――おっ、受けてくれるか! 今のところヤツと戦闘したのはお主だけじゃ。期待しておるぞ!』
まぁそんなこんなで僕は依頼を受けた。
――――『氷鴉アイツは僕が仕留める』そんな決意を再確認して。
――――――――――――――――――――
そんなこんながあった後、僕はログアウトして今家の自室にいる。
YLoの時間加速は三倍だから、向こうではかなり濃い時間を過ごしたけどまだ夜は始まったばかりだ。
だけど油断はしていられない。氷鴉討伐隊の出発はあっちの時間で3日後、つまりリアル時間では明日の今ごろに決まった。
レベリングとかアイテムの回収とかの諸々をやるには時間がいくらあっても足りない。
でも今はログインできないんだよね。何故なら……
「光人ー! 時間よー!」
「あっ、わかったよお母さん!」
ご飯が始まるからだ。家は共働きだけど、両親ともテレワークで仕事をしてる。それで家族の絆を保つためとかなんとかで夕食はみんな揃って一緒に、が我が家のルールになっているんだ。
「今日のメニューなに?」
「焼いた鱈と炊き込み御飯よー!」
「うわっ、やった!」
異世界に転生して早15年が過ぎたけど、こっちにやって来て一番驚いたのは食事で、今も慣れない。
向こうでも貴族子息としてそれなりに贅沢な食事を経験したこともあるけど、冒険者になってからはずっと黒パンに材料の少ないスープやサラダばっかりだった。遠征のときに使う保存食の不味さも異常だったし。
「炊き込み御飯かぁ……前世じゃ一番考えられない料理だよなぁ。」
米も出汁も椎茸やタケノコは前世で一度も見かけたことがない。
「お母さん、今日も美味しいご飯ありがとう」
「なにー、急に? まぁどういたしまして?」
「ははっ、俺も感謝してるよ母さん」
「あなたまで……」
さぁ、ご飯を食べたらレベリングだ。集められる手札全部集めて……氷獄鴉アイツをぶっ殺しに行こう!
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