リザルト

「よしっ、ドロップアイテムはこれで全部だね?」




  僕らはゴブリンの周囲に散らばった銅の剣等のアイテムをインベントリに収納した。




「大丈夫よ。でもコイツらの持ち物シケてるわねぇ。換金したって幾らになるか……」


「まぁそのためのクエストだからね。報告したらそこそこの額は貰えた筈だよ。」




  今回のゴブリン退治のような魔獣の討伐依頼は、国から補助金が出ているらしい。そのため冒険者は労力に見合った稼ぎが期待できるのだとか。




「確かにそうね……それに今回一番良かったのは、戦闘経験が積めた事ね。いくら生産志望だとしても、私も今後一切冒険しないなんてことは無いでしょうし。レベルも上がったわよ! 新しいスキルも覚えたみたい! 」




  ホノカはとても嬉しそうに空中を指差す。




「【神母ゴッドマザー】っていうの!すっごく強そうじゃない?」


「レベル3にして、神って付くスキルが手に入るのは凄いね! どんな効果なの? 」


「待ってね、今確認するわ……」




  そう言うと、ホノカはウィンドウを操作しスキル名を長押しした。


 


  ふーむ、そうやって詳細を見るのか……【眉間打ち】とか適当に使ってたし、後でじっくり見ておこう。お、詳細が分かったみたいだ。




「えーっと……効果は『バフを掛けた後、パーティーメンバーが20m以上離れた所で戦闘しているとかけたバフの効果が上昇する』だって! さっきの【ストレングス】を掛けて見送ったのが評価されたのかなぁ? 」


「便利そうなスキルじゃない? 後方支援にとても向いてると思うよ!」




  そう言うと共に、僕もレベルアップしていた事を思い出す。……アナウンスがされた時は残心で忙しかったんだ。




「ステータス!」




 ――――――――――――――――




 PN.ライト 【鳥人種】《type 雛》




 Lv.5




 Job.《魔法使い見習い》 sJob.《弓兵見習い》




 HP 30




 MP 35




 SP 35








 STR 5




 INT 15




 TEC 18




 AGI 4




 VIT 5




 LUC 3








 スキル




【強弓】【火矢】【眉間打ち】【魔法弓】【精神集中】【二矢ダブルアロー】【三矢トリプルアロー】【四矢フォースアロー】【弧線打ち】【水矢】




 称号


 《ダッキー驚愕》《初戦の完封者》《二の打ち要らず》《爆殺魔》《オーバーキラー》




 装備


 ゴブリンの弓矢




 ――――――――――――――――




  ……なんか色々増えてるなぁ。




「わっ、ライト凄いじゃない! 沢山スキルや、称号持ってるわねぇ~!」




  今回増えた二~四の矢は、射た矢が各々の数に分裂するらしい。どう考えても四本打ちしたせいですね。


  弧線打ちも同上だけど……今更スキル化されても、SPの無駄になるだけなんだよね。




「うーん……リアルスキルでなんとかできる部分が多いなぁ……」


「なーに言ってんのよライト! 私なんてスキルみっつよ、みっつ! それは贅沢っていうの。精々喜んどきなさい!」


「あっ、ごめんよホノカ! 」




  確かに水の矢を手に入れられたことは大きいし、四矢とかは前世で僕が自爆した針千本の劣化のようなスキルだ。考えてみれば色々悪用できるかも。




「称号はね……うんうん、分かってますよ分かってます。だから記憶から封印しておきますねー。」




  臭い物には蓋をするスタイル。なんだか僕が凶悪犯みたいじゃないか。……殺ヤったときはちょっとスカッとした自分も居たけど。




「他には……ないかな? 」


「待ってライト! お、お腹! 」




一応の戦果確認を終えたと思ったその時、ホノカが呼び止めてくる。




「お腹がどうしたって?」




質問しながらお腹を見るが、普通の腹があるだけだ。




「卵の殻、無くなってるわよ!」




えっ?卵?えっ?




………あーーーー!!!




良く良く見てみると、僕の種族は鳥人種type卵から、《type 雛》へと進化してた!




……気付かなかった。ふむふむ、でも特に変化は無さそうだ。体毛も青っぽい灰色のままである。




「さっ、さっきの私のハグが原因で……? 」




ホノカが恐れるように、髪と同じ赤い瞳を潤ませ、上目遣いで聞いてくる。




うわっ……ヤバい……可愛い…




安心させる為に僕は、前世でユミにしていた様に彼女の赤い髪を撫でた。




「大丈夫だよ? 鳥人特有の進化みたいだ。さっきのハグは関係ないよ! 」


「え……あっ、そうなの……? よかったぁぁぁ……! 折角仲良くなれたのに、大事なもの壊しちゃったかと思って……」


「大丈夫、大丈夫。 僕らはもう友達でしょ! 例え大事なものであっても、怒ったりしないよ。 さぁ街へ帰ろう?」


「う、うん!」




そうして僕らは、街へ向かって歩きだした。




一方その頃―――木の上から一部始終を見ていたカラスの目には、頭を撫でられ赤くなった少女と、自分のした事を振り返り赤くなった少年が映っていた………


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