クロネコギター

山崎 モケラ

悩みの時間

 いつもあたしは不思議に思っていた。


 あたしは30歳。おととしに結婚して、いわゆる専業主婦だ。 でも、まだミュージシャンになる夢を諦められずにいる。 諦めきれずに、部屋でギターを弾きながら歌ったりしているのだ。

 そう。


 あたしが不思議に思うのは、お気に入りの黒いレスポールのギターで練習していると、どこからかお月様のようなまんまるな目のクロネコがベランダにやってく ることだ。

 どこから来るのだろうか。 しかも、ギターを弾いてるのは2階だし。

 一階の部屋にいるときに見かけたことはない。

 必ず、2階の部屋。黒いレスポール。そして、最近気づいたのだが、練習曲があたしが作った Black Black CATを弾いてるとき。

 必ず現れるのだ。


 あたしは必ず現れるクロネコに名前をつけた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る