第31話 今日はDVD鑑賞会らしい

「・・・は・・・く・・・。おは・・・い・・・す」


 誰かに呼ばれた気がしてわずかに目を開けると、太陽の光が存分に目に入り込んでくる。あまりの眩しさに顔を顰めるのだが、直後顔に影がかかり目を普通に開けられるほどにはなった。


「あ、信春君。おはようございます、と言ってももうお昼過ぎですよ?」

「・・・もうそんな時間ですか?ふわぁ~・・・眠い」


 俺は体を起こして大きく背伸びをしながら、優里さんを見た。どうやら外に出ていたらしい。

 可愛らしい服を着ている優里さんはじーっと俺を見ていた。まぁ俺もじーっと見ていたし当然か。


「昨日は随分とお楽しみだったようですね。あまり夜更かししすぎると体に良くありませんよ?」

「確かに・・・せっかくのGWなのに半日潰してしまいました」


 部屋にかけられた時計を見るともうすぐ2時になる。・・・うん、だいぶ寝たな。


「でも折角の連休ですからね。夜更かししたい気持ちも分かります。かくいう私も綾奈さんと随分と話し込んでしまいました」

「えーっと綾奈は?」

「先ほど帰られましたよ?ついでというわけでもありませんが、少しお買い物もしてきました。あと信春君のお昼ご飯も買ってきてありますから食べてくださいね」

「あ、ありがとうございます」


 そうか、綾奈は帰ったのか。まぁ明日も部活だって言ってたし当然と言えば当然か。

 さてご飯を食べにリビングに向かおうかな。

 俺は立ち上がって優里さんと一緒にリビングに出た。机には惣菜パンが置いてある。まぁ寝起きだし軽いもので十分だ。ありがたく頂こう。


「それでですね。実は今日初めてDVDを借りてきました」


 ソファーに乗せてあった袋から数枚のDVDが出てくる。

 1枚目は一昨年の夏、随分と話題になった有名な映像監督によるアニメ映画。なんでも登場人物が入れ替わるという話のものだ。残念ながら俺は映画館では見れていない。

 2枚目は有名なアニメスタジオで作られている作品のウチの1つ。なんでもとあるシーンでSNSのサーバーがパンクするほどのアクセスが発生するという管理者泣かせの作品。合言葉は『バ○ス』だ。

 3枚目は大ヒットゲームを実写化したホラー映画だ。いくつもシリーズが出ているがその内の1つを借りてきたらしい。


「映画鑑賞ですか?いいですね」

「家で映画を見るのは新鮮です。どれから見ましょうか?」


 どうやら俺も一緒に観るらしい。にしてもどれから観るか本気で迷う。

 1枚目は正直何度か観てみたいと思っていた。評判も高いし、事実クラスメイトの多くが観たらしくかなり興奮した様子で映画のことを語っていた。

 まぁホラー映画は夜でいいだろう。雰囲気も出るし昼間に観ても怖さは半減だ。


「ではこれから観ましょうか。とりあえずご飯食べるので待っていてください。色々用意してから観ましょうね」

「では私も部屋着に着替えてきます。はぁ~楽しみ!」


 優里さんはスキップでもしそうな勢いで部屋へと戻っていった。

 にしても優里さん怖いものって平気なのだろうか?俺はそんなに得意な部類ではない。まぁ観れないことはないが、好んで観ない。そんなレベルで得意ではない。しかし優里さんの前で格好悪い姿は見せられない。

 やっぱり昼間に観た方が良かっただろうか・・・。まぁいいか。怖くなればまたゲームでもして夜を明かそう。

 そう思いながらパンを食べる。うん、やっぱりコンビニのパンもレベルが高くなっている。美味しい。


「お待たせしました~」


 優里さんがリビングに戻ってくる。のは良いのだが、今日はなんか肌の露出が多い気がする。っていうか足。

 白のショートパンツにゆったりしたサイズのパーカー。

 そんな感じだから、嫌でも足に目がいった。頭を振って正気に戻す。


「では観ましょうか。飲み物入れますね。優里さんはDVDの用意をお願いします」

「わかりました。あとお菓子も買っているので一緒に食べましょう」


 キッチン越しに優里さんが用意しているのが見える。そんなに楽しそうに準備しちゃって、そんなに楽しみだったのか。

 まぁせっかくのGWだ。こんな休みがあっても良いだろう。

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