【第一部・第二部】蛇に転生しました。勇者か魔王になろうと思います。

松明ノ音

〖第一部〗蛇に転生しました。勇者か魔王になろうと思います。

【転生編】■■■は死んだ。

第1話 愛はなかった。

 ※ 第一話だけ無駄にエロです。苦手な方は飛ばしてもらっても、ストーリー自体に影響はありません。





 切ない。

 これが俺の人生なのだろうか。




 俺の腹の上には、巨乳を揺らした女が、声を荒げて腰を振っている。


 おぉう、おぉう、と獣のように。


 腰が痛い。この女は、乳だけでなく腹も太い。脚も太い。俺の胸の上に置かれた両腕も、丸々と太かった。巨乳というか、デブなのだ。顔もよくはない。


 目を閉じる。目を閉じたままこの女ではない美女を想像し、胸へと手を伸ばす。


 乳輪を周りから撫でると、喘ぐ声にかわいらしさが混じる。触れるか触れないかで撫でながら中心へと向かっていき、乳首へと触れる。


 喘ぐ声がまた変わる。


 んんっ、とくぐもるような声だ。しばし優しく弄ぶと、女の腰が止まる。今度は俺が腰を動かす。


 すると、ぐぅと鳴き、上半身の体重を俺の胸へと乗せてくる。


 早く『これ』を終わらせたくなってくる。せっかく妄想しているのに、現実の重みがのしかかってくると醒めてしまう。


 乳首を強めにつねり、腰の動きを速めると、女はうげぇうげぇと怪獣のような声を上げる。


 こんなんでも、勃つものは勃つ。そして、摩擦の分だけ果ては近づく。


 腰を上半身に向けて押し、豚の両胸を俺の顔に乗せる。乳のデカさと乳首の色のきれいさだけが、この女のいいところだった。


 顔で触れる柔らかさと、摩擦だけに集中する。腹の上の腹には、意識を向けない。


 そうやって腰を振り続ける。


 豚の声は一層、獣じみてくる。体液は俺の太腿を垂れ、大量にベッドのシーツを濡らす。


 首を軽く締めながら、徐々に顔を僕の正面まで下ろす。見るに堪えない顔がさらに歪んでいるので、首を絞めながら横を向かせる。


 腰を振り続ければ、がひゅぅがひゅぅと、壊れた玩具のような息を口から出している。


 横を向かせたまま、耳を舌先で舐める。


 女の身体は痙攣を始めた。すでに何度も果てている。徐々に耳を広範囲に舐めていくと、締まりはさらにキツくなってくる。振り続ける腰と同じタイミングで、耳の穴に舌を出し入れすると、身体の力が抜けていった。


 締まりだけはそのままだったので、殺してしまわないように、締めていた首の手を放し、俺も自分が果てるための腰の動きを繰り返す。


 ちゃぷちゃぷ、ぺちゃぺちゃと音を立てて食べていた耳から、口を放す。


「出す」


 そう呟くと、女の身体は一度震えて応えた。


 ゴムの中に、白い血液が充満する。


 その振動を感じたのか、女の身体はまた痙攣した。


『重いからどいてくれ』


 さすがにそう口にすることはできないので、頬をぺちぺちと叩いた。


 失神しているようなので、仕方なく女の身体を押しやった。すると、太腿に熱い水を感じた。


 ぎょっとして耳をすましたが、間違いない。


「……クソ」


 この女、小便漏らしやがった。







 暗闇でも、自分の部屋なので間取りは掌握している。


 狭いソファベッドから風呂場へと移動し、自分自身を入念に洗う。デブにありがちなことに、臭いのだ。


 あとは豚を帰して寝るだけなので、髪から全身まで洗った。心地よい倦怠感で、ぐっすり眠れそうだった。


 体を拭き、風呂場の電気を再び消し、暗闇に戻す。


 女は意識を取り戻したようで、ベッドの上に女座りをしているのが、見えはしなかったが、気配でわかった。


「ごめんね、汚しちゃった」


 さっきまで、獣のような声で鳴いていた豚は理性を取り戻したようで、謝ってきた。


「……いいさ。すぐ洗うよ」


 まったくよくないのだが、謝られた以上こう言うしかあるまい。


 女を通り過ぎて背を向け、手探りで煙草とライターを取る。


 この女は確か煙草を吸わなかったはずだし、お互いへのマナーとして、暗闇の中で話す。女の醜い体が見えないように。俺の顔を見せないように。


「本当、すごいよね」


 女は言いながら、背中から僕の腹に手を回す。胸を背中にあてつつ、太い腕や腹が触れないように注意しているのがわかり、いじましさを感じる。そこまでするなら痩せればいいのに。


「何したら、こんなガッチガチになるの?」


 俺の腹筋に触れながら、女が問う。お喋りをする暇があるなら、シーツを剥がして風呂場に持って行って欲しいのだが。


「空手」


 紫煙を吐きながら端的に答える。俺は今正しい意味で賢者モードなので、質問に答えるのも億劫なのだ。


「……そう。腹筋だけじゃないもんね。胸は厚くて腕も脚も太くて、背中もガッチガチ」


 そう言って、女は俺の身体を撫でまわす。自分自身だけは、すでに三回出したのでやわらかい。



 遮光カーテンで真夜中の月明りも街灯の光も遮り、部屋の電気もない暗闇で、灰皿に灰を落とす。部屋の明かりは煙草の先端だけなので、注意が必要だ。


 答えずにいると、女は俺の身体をしばらく撫で続けた。煙草が終わろうとしたので、新しく一本箱から取り出して咥える。今しがた吸っていた煙草の先端で、火を移す。


「…………」


 吸い終わるのを契機に、話しかけようとしていたのだろう。女のまさぐる手が、一瞬止まった。


「……何?」


 暇なので、訊く。お互いルールとして、極力スマホも開かないようにしているのだ。明かりは、駄目だ。


「私たち、すっごく身体の相性いいよね?」


「そうだね」


 こう言うしかあるまい。俺の持論としては、相性なんてものは存在しないが。


「付き合っちゃう? なーんて」


 疑問形にしているが、なーんて、との間に間が少ない。少しでも冗談めかすような、冗談と真逆な必死さがいじらしい。


「こんな顔でよければ?」


 俺は振りむかず、肯定とも否定とも取れる言葉で返した。


 女は、俯いてふふっと、笑うような息を吐く。



「ごめんね。シャワー浴びてくる」


 戯言遊びを終え、女は立ち上がる。この流れでは、シーツを持っていけとは言いづらかった。重みのある足音を、背で聞く。


 肯定と取れても、同じく醜い体を持つ彼女には、さっきの言葉が明確な否定であると伝わっただろう。鍛え上げて美しい体と、優れた下半身を持つ俺が、彼女のような豚を相手に性欲を発散しているのだから。


 俺も彼女の身体を見たくないし、彼女も僕の顔を見たくない。マンションの前で着いたと連絡を受けた瞬間に、すべての電気を消してカーテンをしっかり閉めるほど、徹底しているのだ。




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