応援コメント

問⑧【彼女の友達に会う? 会わない?】」への応援コメント

  • 🌱

    正直なところ、女の子の集団は昔から苦手だった。一人ずつなら大丈夫なのだが、集団になった女性ほど対応が難しいものはない。

    「ちなみに、友だちは何人?」

    表情をなるべく変えずに彼女に聞いてみる。
    後々のことを考えると、嫌がっていると思われるのは宜しくない気がしたからだ。

    「5人だよ。私も入れて仲良し6人組!」

    ろ、6人……

    『いい仕事についてるけど私より収入は下かな』
    『でも、料理は上手そうよ』
    『うん、それに真面目そうです』
    『でも服のセンスがちょっと。みんなアリ?』
    『私はいいと思うけどなぁー』

    手にした拡大鏡を使い、頭から爪先までをじっくり探る1人め。そして2人め、3人め……。
    まるでナントカ鑑定団に出品された壺か掛け軸だ。鑑定が終わり点数を付けられる。
    イチ、ジュウ、ヒャク……と1の位から発表される自分の姿を想像し身震いした。

    「おねがい」

    スマートフォンをテーブルの上に置いた彼女は両手を顔の前で合わせて首を傾げた。
    後ろでひとつに纏めた髪の毛束が、傾げた方向にトュルンと揺れる。

    なぜ今日に限ってポニーテール!
    男を擽るポニーテール!!

    こんなに可愛らしくお願いされたら断れない。

    仕方ない、覚悟しよう。

    そう気持ちを切り替えて、とりあえず情報収集だけはしておこうと思った。友だちの雰囲気を知っておけば、それなりにでも準備が出来る。

    「そのお友だちは、同級生とか?」
    「うん、高校の同級生だった子もいるよ」
    「ん?」
    「社会人になってから仲良くなった子でしょー、大学の後輩でしょー、えーと、それから」
    「ん? んん?」

    仲良し6人組と言うから、てっきり年齢や出会った時期が一緒だろうと思っていたのだが、どうやら違うらしい。

    「年も、仲良くなったタイミングも雰囲気もみんなバラバラなんだけど、みんな気が合うの!」

    雰囲気もバラバラという言葉を聞いて肩を落としてしまったのは言うまでもない。どうやら壺・掛け軸コースの想像は間違っていないようだ。
    アハ、アハ、アハハ……
    作り込んだ満面の笑みにはそぐわない乾いた笑い声が部屋中に響き渡った。

    「えーっとね、バリキャリのイチカでしょー。あっ! ニイナは離婚したばかりなんだけどー。 あとは受付嬢のシオリとー、ファッション関係のイツキにー、染めもの職人のムツミ!……と私! なかなか濃いメンバーでしょ」

    微笑む彼女の顔は凄く怖くも見える。

    「関川くんなら、みんなに気に入られるよ」

    彼女は「ふふふ」とそれはそれは楽しそうに、スマートフォンをもう一度手に取った。

    🌱

    ……はたして、このお話は『前』か『後』か、お好きな方をどうぞ。

  • 💐涼月💐

     遅くなりました💦
     恋愛物にしたかったのですが、今回は無理でした。
     思いっきりギャグよりになっております(^^;
     よろしくお願いします。

     💐彼女の女友達に会う!
     それは僕にとってはものすごくハードルが高く感じるし、ぶちゃけ面倒くさい。

     続きはこちら↓
    https://kakuyomu.jp/works/16816452219634382982/episodes/16816452220820538523
     


  • 編集済

    🐻🐻🐻

    「会ってみようかな」
    「えっ」
     その答えは彼女の予想していたものとは大きく外れていたのだろう。彼女は目を見開いて、スマートフォンを手から落とした。その大きな瞳を潤ませている。
    「本当に……いいの?」
    「もちろんだよ。君のお陰で僕もだいぶ立ち直れたんだ」
    「関川くん」
    「今度は僕が君のために、なにかをしたい」
    「ありがとう」
     静かに泣く彼女を画面越しに撫でる。

     僕が引きこもってからもう十年近い。オンラインゲームばかりして、ギルドを作っては追い出されたり、迷惑がられたり。ネットの世界にも居場所を見失っていた去年、ゲームで出会った彼女とはなぜかすぐに仲良くなれた。
     以来、彼女とは毎日のようにPCでテレビ通話やゲームもしてきた。お互いの人となりもよく知っている。現実に会ったことはないけれど、彼女だけでいいと言い続けてきたけれど、彼女が望むなら彼女の友達《フレンド》と会ってみてもいいだろう。

     フレンドとは、ネットゲーム上の知り合いのようなものだ――彼女もまた、引きこもりなのだ。

    「だけど、僕のコミュ障は並大抵のものじゃないからね。君のフレンドに嫌な思いをさせたらゴメンよ」
    「大丈夫。いい人たちだよ」
    「たち?」
    「今度のボス狩りはやっぱり二人じゃ厳しいから――今招待OKって送ったよ」

     ピロン。フレンド申請が来た。

     ピロンピロン。さらに二人のフレンド申請が来た。

     ピロピロピロピピピピピピピピピピ――

     次々と送られてくる100件近いフレンド申請に、僕は意識が遠のいた。

    「僕、やっぱり無理かも……」

     ピピピピピピピ――僕のか細い声は通知音に掻き消された。

    🐻🐻🐻

    『タイトル:僕の彼女はコミュニケーション能力が高すぎる』

  • 🌰🌰🌰🌰🌰 🌰🌰🌰

     少し考えたあとで、僕はこう答えた。

    「人前でコスプレしたり、歌ったりしなくてもいいんなら、会うよ」

    🌰🌰🌰🌰🌰 🌰🌰🌰

    栗がどんどん増えていく…
    続きはこちら
    https://kakuyomu.jp/works/16816452219874986703

  • ☆☆☆ 愛宕 ☆☆☆

     僕は、彼女の友達と会うことにした。
     最寄りの駅を出てすぐの場所に、買い物や飲食の店が詰め込まれた大きな商業ビルがある。そこの二階の片隅に、長きにわたり信用と実績を重ねて鑑定を続けている占いの館があった。その名も『賢者の言葉』。経験豊富で当たると評判の人気占い師が複数人集まり、日替わりで館を運用していた。今日は、ジェーンの紹介する友達が、この館にいるということで一緒に来てみた――。

    『二択探偵フタヒロ』
    (https://kakuyomu.jp/works/16816452219638120621/episodes/16816452220671760127)

  • ♪♪♪ 一帆 ♪♪♪

    ごめなさーい。ユキがスマホで話しているのは後輩のお母さん。相変わらず、変化球返答になってしまいました。

    ***********


    外では、ユキがスマホをいじっている
    ボクが視界に入ると、スマホをしまって、何気なく言う。

    「次は後輩のお見舞いにサナトリウムに行く予定なんだけど、……、電話でね、後輩のお母さんと話していたら関川くんの話になってね」
    「そのお母さんに、ボクのコト話した?」
    「全部じゃないけどね」

     当たり前のようにいう彼女。
     反対に動きを止めるボク。

     もし、ユキがボクの秘密をしゃべったら、ユキの命の保証はできなくなる。研究所に有無を言わせず、連れて帰らなくてはいけない。胸ポケットにしまっている注射器がずしりと重みを増す。


     『人工知能は恋をするのか?』
    https://kakuyomu.jp/works/16816452219764931995


  • 書いてみました!

    https://kakuyomu.jp/works/16816452219783275874

    こんなのです~。

  • 🍷🍷🍷

    「そうだね……うん、いいよ、君が望むなら会いに行こう」

     僕は彼女の目を真っ直ぐに見つめてニコリと答えた。

     僕には何もやましいことなど無い。
     堂々と彼女の友達に会いに行こうじゃないか。
     僕たちは彼女の友達との待ち合わせ場所である、某駅前にある世界最大手コーヒーチェーン店に向かった。

     最近暑くなり、薄着をしているせいで、はちきれんばかりの巨乳の目立つ彼女の友達がすでにテーブル席についている。
     しかし、僕は彼女の後に続いて店内に入ったのだが、血の気が引いて足が凍りついた。
     彼女の友達が誰なのか、すぐに分かってしまったからだ。

    🍷🍷🍷

    続きはこちらになります。

    https://kakuyomu.jp/my/works/16816452220144105798/episodes/16816452220747843529


  • 編集済


    🍻

     目の前の3人は、硬い表情で座っている。
     僕の正面には、長い前髪で顔が半分隠れた華奢な女性。その隣に、既に何人か殺っていそうなコワモテの大男。彼女の正面に、キリリと髪を纏めたキツそうな美女。
     重苦しい空気の中、給仕係が一通り料理を並べ終え、一礼して個室を出て行った。

    「じゃ、まず乾杯しますか」
     桃子がひとり明るい声で、グラスを上げた。3人と僕も、それぞれにグラスを掲げる。
    「かんぱーい!」の声も終わらぬうちに、3人は一気にビールを飲み干した。

    「ッカーーーー!! たっまんなぁい!」真ん中の大男が太い腕でグラスをテーブルに叩き付ける。よく割れなかったな。
    「ごめんねえ、関川クン。アタシ、お店の人がいると緊張しちゃってぇ」

     外見と口調のギャップに、降ろしかけたグラスが空中で止まる。分厚い胸板に手を当て心臓を宥めている様子の大男は、どう見ても相手に緊張を強いるタイプだ。しかも、命の危険を感じるレベルで。

     隣の美女が、キッチリと纏めていた髪を解き放った。艶やかな黒髪がこぼれ落ち、豊かに波打って肩を覆う。同時に胸元のボタンを外すと、こちらも豊かに波打ってこぼれ落ちた。
    「はぁーーー、窮屈だったぁ。マジやってらんない」そうぼやきながら、手酌で次のビールを注ぐ。
    「あ、僕が」というのを手で制し、「いいのいいの、あたし気ぃ遣われるの苦手なんだ。関川もさ、好きにやってよ」
     速い。距離を詰める速度が超速だ。これは相当の手練と見た。何の手練かは不明だが。

     僕の正面に座る女性は俯いたまま、まだ一言も発していない。が、よく見ると口元が微かに動いている……
    「こいつかセキカワよくもあたしのモモコをこのおとこどうしてやろうかにてやいてあげてからみんちにしてぶたのえさに」
     僕は唇を読むのを止めた。知らない方が良さそうだ。

    「仲良し四人組だったの。みんな、すごくいい人なんだよ」と紹介された彼らは、いい人かどうかはともかく、すごく個性的ではあった………

    🍻

    今回は王道を目指しました。
    続きはこちらでおねがいします!
    https://kakuyomu.jp/works/16816452220246177194/episodes/16816452220691803514

  • 🍬🍬🍬🍬


    このご時世マスクは必須、帽子と眼鏡愛用者でもあるし、髪も長め、かなり怪しく見える自覚はある。
    とりちゃんの友達に会うならどうにかしないと。
    でも、とりちゃんが友達に会わせようと思っているのはこんな素のぼくではなく、仕事中のぼく、着ぐるみ姿=アンパンマン、なんだろうなあ。

    「それいけアンパンマン」やなせたかし


    🍬🍬🍬🍬

    ちょい長版もよろしくです♪
    https://kakuyomu.jp/works/16816452219850544840

  • 「い

    ▶続きはこちらからお願いいたします
    https://kakuyomu.jp/works/16816452219170939051/episodes/16816452220522037461

  • 🍏🍏🍏
    『あんたの関川くん、話を聞いているうちに興味が湧いてきちゃった』
    >そう? なら、会ってみる?
    『あんたが構わないなら』
    >じゃ、ちょっと聞いてみるね

     スマートフォンをいじりながら、私のために食事を作ってくれている関川くんに声を掛けた。
    「そうそう。こないだ友達と話してたら関川くんの話になってさ」
    「友達に僕のコト話してるの?」
    「もちろん、みんなに、じゃないけどね」
     霧ちゃんはなんでも話せる私の一番の友達で、関川くんのこともよく話していた。

     例えば、お料理が好きで、リクエストすると腕を振るってくれる上、手肌を大事にしないとって、後片付けをはじめとした水仕事は全て引き受けてくれる。荷物だって全部持ってくれるし、疲れたら身体がしっかりほぐれるまでマッサージをしてくれる。お風呂の入浴剤は私のその日の気分や体調を汲み取って、絶妙なフレーバーを選んでくれるし、毎日優しい手つきで背中を流してくれる。それに眠る前、起きた時、出かける前はいつもキスしてくれるし、私を全肯定してくれる。何より普段は物腰柔らかめの押し付けがましくない男らしさみたいなものを纏っているクセに、時々構って欲しそうに甘えてくるのが堪らない。
     大体そんな話だ。

    「でさ、そろそろ、私の友達に紹介したいんだけど……どうかな?」
     案の定、関川くんは戸惑っている。うんうん、そういう反応するってわかってた。
     私はさっきまでコロコロと寛いでいたソファからひょいと飛び起きて、コンロにフライパンを置いた関川くんに、背後から腕を回した。温かい背中がすっと伸びて、少しだけ緊張感が走ったのがわかる。こういった傍目にはわからない微妙な反応が愛おしいのだ。
    「関川くんが、そういうの苦手なのは知ってるんだけど……ダメかな?」
     腰に回した腕をそっと解かれたのは少し不満だったけれど、振り返ってこちらを見つめる黒に近い焦げ茶の瞳をまっすぐに見返した。あと一息……
    「そうだね……」
     関川くんは困ったなという顔をしながらも、そう答えてくれた。まあ、私の「お願い」を聞いてくれなかったことなんて、今まで一度もないんだけどね。
     私は嬉しさを表現するために、背伸びして半ば飛びつくようにして彼の頬に口づけた。もちろん、そうしたいからするのだけど、その後に見せる彼のはにかんだ顔を眺めるのが好きなのだ。

     本格的にキスしようとしてくる関川くんを、後でね〜と軽く|躱《かわ》して、ソファに戻る。ごろりと寝そべって、意気揚々とスマートフォンをつついた。
    >霧ちゃん! 関川くんからOK出たよ!
    『ほんと? じゃあさ、今度の土曜日にパーティがあるから、そこに来ないかな』
    >ああ、例の? 最近、仲間が増えたんだっけ?
    『そうそう。ヨシくんって呼んでるんだけどね。今となってはアレとかソレが好きな皆木くんの手解きで、どんどん開拓されてるみたい。私も腕が鳴るわ』
    >霧ちゃん、腕じゃなくて、風切り音でしょ? 笑
    『ま、そうとも言う』
    >霧ちゃんのスパイシーさは、巷で有名だからね

     私は愛しの関川くんの器が更に大きくなるであろう期待感に打ち震えた。


    タイトル『スパイシーな世界に誘われる関川くん』
    🍏🍏🍏

    話の全貌は『無二の朝飯前』にて
    https://kakuyomu.jp/works/16816452219567055907/episodes/16816452220333093816

  • 🐰🐰いすみ 静江🐰🐰

    『Iカップひなぎくの育児にぱにっと』
    https://kakuyomu.jp/works/16816452219720071974

    「I09 彼女の友達」
    https://kakuyomu.jp/works/16816452219720071974/episodes/16816452220730572072

    「話って何だい」

     俺の運転で、月曜日の朝に黒樹家を出た。
     ノアの中には、蓮花(れんか)、和(かず)、劉樹(りゅうき)、虹花(にじか)、澄花(すみか)、静花(しずか)ちゃんとその隣に愛しのひなぎくがいる。
     山道には慣れっこだが、俺の家族だけは守ろうと必死でハンドルを切った。
     ひなぎくの話に冷や冷やしなければいいが。

    「あのね。この間、九十九里(くじゅうくり)のいすみさんと話していたの」

    「ああ。それで」

     ちょっと喉がからからになったな。
     ひなぎくが気を利かせて、俺用水筒をくれた。

    「あなたの話になったのね」

     ブッ。
     カフェオレお砂糖マックスを勿体ないことに吹きそうになった。
     ひなぎくは、珍しくスマートフォンで何かを探している。
     さり気なく口説きにかかったな。
     俺の何を話すんだ。
     アラフィフは、内緒だぜ。

    「友達に俺のことを話してるのかい」

    「勿論、皆にではないけれどもね」

     当然のように言うな。
     しかし、ちょっとドキドキするもんじゃ。
     俺は、どんなふうに紹介されているのだろうか。
     これまた、ちょっと気になったりもするお年頃だ。
     それは年の差婚じゃもん。 

    「でね。そろそろ、彼女に紹介したいんだけど。どうかしら」

    「急な話だな」

     突きつけられた凸凹山道に、俺は、またまたちょっと返答に困る。

    「あなたが、お披露目が苦手なのは知っているわ。でも、ダメかしら」

     背後から俺にチクチクと、ひなぎく視線の矢文だ。
     俺って弱いぜ。 
     頭では様々な思いがグルグルと回った。
     うおお、困ったもんじゃあ。
     今はハチミツマックスお砂糖が欲しい位じゃもん!

    「そうだね……」

     ハア、ハア。
     とにかく、答えた。
     これで、よしだ。

     ◇◇◇

    「それでね、いすみさんって、元、夷隅郡岬町(いすみぐんみさきまち)に暮らしていたのよ。今は、いすみ市となったから、平仮名で呼んでよって面白いこと考えるのわよね」

    「はいはい、平仮名いすみさんね」

     俺は正面を向いて、運転に専念した。
     ここは、魔の峠もある。

    「下は転生とか何にも関係なくって、静かな長江(ちょうこう)の江、静江(しずえ)さんと言うの」

     転生?
     ひなぎくは、最近何を読み出したんじゃ。
     まあ、それはいい。

    「で、いつ行きたい?」

    「本当は海も山も夏がいいけれども、あなたが私の白い水着で鼻血を出すでしょう」

     ブッ。
     水筒の中は美味しいのだが、何故か今は塩辛い。
     棒倒しが懐かしい九十九里浜だな。

    「……よし!」

    「はい」

     俺は、固唾を呑む。
     ほれ、ドラムの音が始まった。
     ダダダダダダ……。

    「再来週だな。白咲の家から、帰るときにしよう!」

    「きゃあ、嬉しいメールで相談して置くわ」

    「その前にだ。手術、がんばって来いよな」

     ◇◇◇

     個室をお願いしてあり、子ども達と一緒だった。

    「看護師さんにスリッパを用意してと言われたけれども、これは何かしら」

    「五本指の健康に良さそうなスリッパがあったんじゃもの。しかも白いビキニばりの」

     ちょっとちょっとちょっとでも、ひなぎくの気持ちを楽にしたいのじゃもん。

    「履き難いわ」

    「俺に任せるんじゃ。縁起がいいから履いていくといい」

     俺は、背中を丸めて、ベッドに腰掛けるひなぎくの足を取った。
     細いの。
     何を苦労したら、こんなに細くなったんだ。

    「失礼いたします。黒樹ひなぎく様、お仕度ができました」

    「行って来ますね、皆。きっと元気になって来るわ」

     ひなぎくは手を振りながら歩いて出て行った。

    「お、おう」
    「行ってらっしゃい!」
    「気を付けて」
    「僕も祈るから」
    「私達も待っています」
     ぴぎ。

     子ども達にも送り出され、あっと言う間にひなぎくの手術となった。
     俺は、待っていた。
     そりゃあ、勿論――。
     笑顔満開のひなぎくしかいない。
     間違っても何かがあるだなんて、思わないことだ。
     あれで、度胸もある方だからな。
     何とかなるだろう。

    「おい、今何時だ」

    「そればっかり言って。大丈夫よ」

     いいじゃないか、蓮花。

    「おい、今何時何分だ」

    「お父さん、さっきから三分後です」

     そうですかー。
     和め。

    「落ち着こうね」

     はいはい、劉樹。

    「おい、そろそろ終わるだろう」

    「見に行ってもいいの?」
    「私も行く」

     仲良し双子ちゃんだな。

    「虹花、澄花、悪かった。ここにいてくれ」

     ぴぎゃー。

    「おむつかな。俺がやるから、お前達は静かにしていなさい」

     俺がうるさいのかも知れないな。
     ぴぴぴ。
     う、ぴ……。
     シャー。

    「はは、気持ちよかったかあ。パパのお顔はトイレじゃないぞー」

     ドアがノックされ、ガラガラと音がした。
     外したおむつを丸めながら、俺は振り向く。
     あれは、あれは……。

    「ただいま」

     笑顔満開だ!
     よかった。
     ああ、よかった……。
     くそう、アラフィフ黒樹、不覚にも胸に込み上げるものがある。

    「スリッパ、脱がせ難いって、看護師さんが仰っていたわ」

    「それか!」

     帰宅後、ひなぎくは、友達と会うのもとても楽しそうにして、眠りについた。
     もしかしたら、万が一のこともあって、名前だけでも俺に紹介したかったのかも知れんな。
     気配りの足りない者で、すまなかったなあ……。


  • 編集済

    💕💕💕💕💕

    「君と出会った頃に、一度友達を紹介されたじゃない? 確かゆうけんさん?」
    「ああ、ゆうけん。そうね。そんな事もあったわね」

     彼女の記憶を確かめ、僕は続けた。

    「彼、俳優の内藤剛志さんに似てない? 刑事物によく出てくる」
    「え? ぜんぜん似てないけど?」

    「だよね」
    「……どういうこと?」

    「いや、その時の僕の目には『彼が内藤剛志に似てるように見えた』ってだけさ」
    「そうなんだ。で、それがどうしたの?」

    「その日の夜からだよ、僕が毎晩悪夢を見るようになったのは」
    「え? どんな夢なの?」

    「毎回同じパターンさ。血相を変えたゆうけんさんに追いかけ回されるんだ」
    「つまり、あなたは『毎晩のように血相を変えた内藤剛志に追いかけ回される夢を見てる』ってこと?」

    「そういうこと」
    「なんで逃げるの?」

    「なんというか、怖いんだよ。貞操の危機を感じるというか」
    「あれから随分経つけど、その夢は今も毎日見てるの?」

    「先週、君の知り合いの熊手さんって人に会ったじゃない?」
    「うん。確かにクマちゃんにばったり会ったわね」

    「あの日の晩から僕を追っかけて来る内藤剛志が二人に増えたんだよね」
    「ま……まさか、あなたの目にはクマちゃんも『内藤剛志に見えた』って言うの?」

    「うん。だからもう夢の中にこれ以上内藤剛志を増やしたくないんだよ。もしもだよ? もし、あの顔をした10人くらいの男たちに追っかけ回されたら、僕は……逃げ切る自信がない。この気持ち……わかってくれるかな?」
    「わからなくはなくはないけど……そうね、そういう事なら仕方ないわ。だけど、私からもお願いがあるの」

    「何かな?」
    「できるだけ早く、病院で診てもらって。そのままだとあなた、きっと……つらいと思うから」

     彼女の目から涙が溢れる。僕は優しく抱きしめながら言った。

    「そうだね。そうするよ」
    「絶対よ」

     約束すると、彼女は少し落ち着いたようだ。

    「ところで、君は僕のことを友人にどう紹介しようとしてたの?」
    「どうって、そのままよ。私の好きな内藤剛志に似た人だって」


    作品タイトル:「みんな内藤剛志」