応援コメント

問⑤【この服を着ろと?】」への応援コメント

  • 🍸🍸🍸🍸🍸

     この蒸し暑い梅雨時季に、彼女は何でボクにこれを着せようと思ったのか。

     湿気がまとわりついて気持ち悪い。


    「もう本当に! 素敵だよ、関川君!」

     不快感を露わにするボクをよそに、彼女は悲鳴に近い歓声をあげる。

     いや、まあ喜んでくれるのはボクも嬉しいけどね。その笑顔を見たいとは思うんだ。

     少し窮屈なその服に、ボクは苦笑いで身をよじる。

    🍸🍸🍸🍸🍸

    書き込むとこ間違えてました💦
    続きは自作品内でよろしくお願いします。

    https://kakuyomu.jp/works/16816452219578079140
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  • 🌱

    ボクはセンスがない。それは彼女と出会うずっと前から何度も言われてきたことである。
    色のセンス、素材のセンス、小物のセンス。
    どれを取ってもダサいらしく、学生の頃は、クラスの女子だけじゃなく、友人にも苦い目で見られていた。
    そんなボクの彼女はなんとアパレル会社の社員というからボク自身も驚きだ。まぁ、社会人になってからはスーツという有難い制服のおかげでダサさはバレていなかったし、彼女と出会った時もいつもスーツだったから、そのあたり、ちょっと騙したことになるかもしれない。
    付き合い出してからボクのセンスのなさに気付いたのか、服は彼女が選んでくれるようになった。
    それまで、私服を周りに見せることなんて皆無だったボクの評価は、彼女が選んでくれた服を着るようになった途端、『お洒落さん』に変わった。
    彼女の選ぶ服を着ていれば間違いない、それは明らかだった。

    ……けれど、今、鏡の自分に戸惑いを隠せない。

    かろうじて上下同じ素材のセットアップだが、ミドルともショートとも言えない中途半端な丈のパンツと、サイズのあっていない小さめのジャケット。色がアッシュグレーなのはいいけど、サイドに施されたオレンジと黒のラインはなんだ?
    某野球チームのユニフォームみたい。

    中に着たシャツは鮮やかなスカイブルーに黄色い星マークが散りばめられている。
    あれ? これも某野球チームのユニフォームかな。

    「靴はこれがいいかな」

    全く心が追い付いていかないボクとは正反対に、彼女は靴を持ってきて、試着室の前にあるボクの靴の横に並べた。
    今日履いてきたボクの靴は彼女がプレゼントしてくれた上質な黒の革靴だった。

    それなのに隣に並べられた靴はどうだ。
    この店のどこから見つけてきたのかと思ってしまうほど強烈な虎柄で、よく見るとインソールには鷲がデザインされている。

    虎に鷲……やっぱり野球かな。
    ……セ・パ交流戦かな。

    もしかしたら、このコーディネートは最先端で、ダサいボクが知らないだけかもしれない。
    これをダサいと思うボクの方がよっぽどダサいのかもしれない。けれど。

    「これは着れないよ……」
    「え?」

    楽しそうな表情が一瞬で固まる。

    「ごめんね。 でもこれは無理だよ」
    「どうして?」

    固まった表情に悲しさが浮かぶ。
    そんな顔させたくなんてないんだけど、でも、ボクはさっき心の中で思った服の感想を彼女にポツポツと伝え始めた。

    「――だから、この格好はちょっと……」

    彼女の顔から笑顔はすっかり消えていた。
    言い切った達成感は少しあるけれど、それ以上に彼女を傷付けたかもしれないという後悔に飲み込まれそうだった。

    「……あ、ご、ごめん」

    そんな顔をさせてしまうなら、このセ・パ交流戦のような服も着てやろうか!そう覚悟を決めた時だった。

    「合格!!!」

    彼女が両手を広げて試着室に飛び込んでくる。思わず抱き止めたが、なにが起きた?

    「ご、合格?」
    「うん!! 関川君、もうダサくないの!」
    「ぅえっ?!」
    「確かに出会った時はダサかったよ。でも、どんどん吸収してお洒落になってるのに、いつまでも私のおかげだって言うから、気付いて欲しくて」

    自信持って! 関川君は素敵なの!

    彼女はそう言うと、今日一番の笑顔を見せた。

    結局、何も買わず店から出た二人。
    彼女は来るときよりも嬉しそうに腕を絡めて笑っている。
    「……でもさ、ボクがあの服を『お洒落だ!着ていこう!』って言ったらどうするつもりだったの?」
    そんなボクとなんてこうして歩けないか、と呟くと、彼女はもっと強く腕を絡ませてこう言った。

    「その時は同じ格好で一緒に歩いてあげる! 私が好きなのは関川君自身なんだから」

    🌱

  • やっと追いつけました!
    よろしくお願いします。

    ・・・・・・・・・


    いや、ちょっと待て?

    何故、世界の頂点たる大魔王せきかわが、この程度のことで悩まねばならん?
    こんなもの断固たる決意で拒否するに決まってお…る…?

    あの子、元魔王は期待に目をうるうるさせながら余を見つめている。

    続きはこちらです。
    https://kakuyomu.jp/my/works/16816452220144105798/episodes/16816452220358332517


  • ♪♪♪ 一帆 ♪♪♪

    やっと、書き上げました。相変わらず遅いm(__)m

    「似合う! 似合うよ、すっごくすてきフタヒロくん!!」

     ユキが絶対に似合うと言いながらボクに着せた服。
     それは、ぴちっとしたレザーの短いタイトスカート、ライダースジャケット。脛の毛は綺麗に脱毛され、白いソックスをはかされた。髪にはウィッグなるものをつけられている。


    https://kakuyomu.jp/works/16816452219764931995

    「人工知能は恋をするのか」

  • ☆☆☆ 愛宕 ☆☆☆

     僕とジェーンは、デート先で見つけた写真館と呼ばれるところにいた。

     一番の売りは、外国人観光客が日本の文化を着込んで記念撮影をするサービスなのだが、その他にもパスポートなどの身分証明に七五三、そしてウェディング関係の撮影サービスなど幅広く手掛けている店だった――。

    『二択探偵フタヒロ』
    (https://kakuyomu.jp/works/16816452219638120621/episodes/16816452220209257271)

  • 💐涼月💐

     投稿しました。よろしくお願いいたします。


     ブルーのロングドレス、チューリップ袖はふんわりとして、胸元にはひらひらとしたレースが幾重にも折り重なっている。

     彼女が似合うと絶賛する姿は、まるでシンデレラ姫のような服装だった。

     似合うだって? 一体柚子ちゃんはどういうつもりなんだろう?

     僕の頭はプチパニック状態。

     確かに、今夜は仮装パーティーをやろうとサークルの部長が言っていた。

     だから、夜は一緒にパーティに参加することになっていたのだ。

     でも、これは無い! 断固拒否する!

     続きはこちらへお願いいたします 
      ↓
    https://kakuyomu.jp/works/16816452219634382982/episodes/16816452220274712972

  • 🌰🌰🌰🌰🌰

     僕の体型に合わせてビシッと仕立てられたスーツ。
     鏡の前で動いてみても、決して僕の動きを妨げない。ジャストフィットだ。
     二子ちゃんの言うとおり、確かに僕に似合う。

    「二子ちゃん、やっぱり無理だよ、僕には……」

    🌰🌰🌰🌰🌰

    ↓続きはこちら♬
    https://kakuyomu.jp/works/16816452219874986703
    自分でお題出しておきながら、今までで一番難産&長くなっちゃいました。
    あと5題、完走目指します…!!

  • 🍻

     これは、ムリだ。たとえ愛しい彼女の望みであっても、さすがにムリだ。


    「だってこれ、着衣の 新 崎 人 生 じゃん!」

     鏡の中の、全身に墨字でお経が書かれている白い道着を着た自分の姿を見て、叫んだ。ご丁寧に、合掌ポーズまで取らされたまま。
     
     ご存知ない方には申し訳ない。新崎人生とは、みちのくプロレス所属のプロレスラーだ。
     かつて、鍛え抜かれた裸の上半身にお経を書き連ね、念仏を唱えながら入場してくるという不気味なパフォーマンスで有名だった選手。見た目は「闘う耳なし芳一」を想像していただければ、ほぼ間違いない。

    「うん、そうだよ?」


    ……はい?

     思わず、耳を疑う。
     そりゃ、この服だって正気の沙汰じゃないけれど。わざと……だと?

    「関川くん、スタイルいいからやっぱり似合う! さすがに外で上半身裸は恥ずかしいから、道着上下にお経を書き込んでみました〜♪」


    趣味全開に走って、やっぱり長くなりました。続きはこちらです。なんかごめんなさい。よろしくお願いします。
    https://kakuyomu.jp/works/16816452220246177194/episodes/16816452220286978338


  • 編集済

    🌸前回までのあらすじ🌸

    過去のことは覚えていない――

    https://kakuyomu.jp/works/16816452219170939051

  • 書きました~。

    https://kakuyomu.jp/works/16816452219783275874

    よろしくお願いします~。


  • 編集済

    🍬🍬🍬


    双子ならぬ姉妹コーデでお出かけって、やる相手を間違えてるよ、とりちゃん。
    ダンディなおれにはあいつみたいなことはできないんだ。
    どうせならピンヒールで踏ま……、おっと失礼。続きはパブリックイメージから開放される3人だけの時間で。

    「トリオリズム」叶 恭子/ゴメンナサイこれは読んでません(汗)

    🍬🍬🍬

    今回も二本立てです。
    読んで頂けたら嬉しいです♪
    https://kakuyomu.jp/works/16816452219850544840


  • 編集済

    🍏🍏🍏
    「まさか、こんなことになるなんて」
     駅までの近道だから、と横切った神社の赤い鳥居前。ボクは呆然と立ち尽くすしかなかった。あの噂、聞いてはいたけれど、そこまで本気にしていなかった。
     ボクも、彼女も。

     突如切り裂かれた空間。
     鳥居の中で一つ目の黒々とした瞳が開いたようだった。そこからウネウネと伸び迫る無数の手。気付いた時には、彼女の四肢が絡め取られ、瞳の奥の闇に引きずり込まれようとしていた。
     もちろんボクは彼女を取り戻そうと必死に手を伸ばした。うまい具合に縁にひっかかり、あと少しというところで……彼女はボクの手をすり抜けてしまった。おまけにボクは吐き出されるようにして追い出され、彼女だけを取り込んだ闇の瞳は、固く閉ざされた。

     あれから、どれくらい経ったろう。ボクはその場から動けずにいた。
     辺りには街灯もなく、ただ暗い。
     彼女が見繕ったこの格好。これがボクたちを引き裂くことになるだなんて。

     今日のボクのスタイルは、いわゆるアズーロ・エ・マローネ。イタリア伊達男のファッショナブル方程式。絶妙な配色。それは良いんだけれど……
     ツヤツヤに磨かれたブラウンの革靴。そしてロイヤルブルーの全身タイツ。
     グリーンを基調とした扇形の飾りを尻から生やし、背に孔雀の如く大仰に広げている。極めつけはボクの顔中に施された特殊メイク。孔雀の飾り羽に負けないくらいの百目が、焦げ茶色の凹凸の中でギラついている。
     それが彼女と一緒に見た、鏡の中のボクの姿だった。

     この飾り羽が縁に引っかかったことで、ボクはあの狭間に入れなかった。ボクだけ置いてけぼり。どうせなら、ボクも……
     繋ぎ止められなかった彼女に対する喪失感と、一人取り残されたやるせなさ。この暗闇から出て、一人街灯に照らされる勇気がない。でも、夜が明けるのはもっと怖い。許される今宵のうちに……

    「ハロウィンなんて、嫌いだ」
     
     
    タイトル『バイバイ、ハッピーエンド』
    🍏🍏🍏
    全貌は『無二の朝飯前』で
    https://kakuyomu.jp/works/16816452219567055907


  • 編集済

    🐻🐻🐻

     ボクはカッと目を見開いた。

     バカな!? こんな薄っぺらいだけの布が●万円だと!? 白金やレアメタルなんて特殊な素材でも使われているのか! いや、どうやって使うんだそれ。って、タグは『綿100%』とだけ書いてあるし。そうか、幻の蚕でも使っているというわけか。いや、落ち着けボク。蚕はシルクか? くそ、わからん。なんだ幻の蚕って。ボクはバカか!?

     この間わずか3秒。ボクは思考の大河を泳いでいき、彼岸をクイックターンで戻ってきた。久方ぶりの此岸の空気は重い。

    「いやあ、これはちょっと予算オーバーかな……」

     なんてナイスな発言なんだ、ボク! この常識的な判断で買えないということになれば、この服を着なくて済むじゃないか! ボクは天才か!?

    「大丈夫! ボーナス出たから、私に任せて!」
    「そー……なんだー」

     魂が抜けそうになる。だが、ここで負けてはいけない。どうにか根性で魂を手繰り寄せながら、ボクは彼女の肩を掴む。

    「でも、こういうのはちゃんと買わせてくれ。キミとちゃんと歩けるように、お金を貯めるから! は、半年! いや、一年待ってくれないか!」
    「関川君……私……」

     彼女が真面目な顔で続ける。身も心も凍りつく真顔だ。

    「甲斐性がない人、無理なの」

     ごめんなさい! と言われたところで、ボクは魂を解放して、意識を失った。

     ――でもだって 無理なんだもの メイドコス

    🐻🐻🐻


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    🐰🐰いすみ 静江🐰🐰

    『Iカップひなぎくの育児にぱにっと』
    https://kakuyomu.jp/works/16816452219720071974

    「I06 この服を着ろと」
    https://kakuyomu.jp/works/16816452219720071974/episodes/16816452220275082042

     目の前で、愛しいひなぎくが微笑んでいる。
     お互いに狭いタイルの中で膝を折って。

    「あなた、今夜もよろしくお願いいたしますわ」

    「ああ、静花ちゃんな。おむつでもミルクでも楽しみで眠れないさ」

     こんなに幸せなことはない。
     涙を通り過ぎて、口髭が濡れそうじゃもん。
     お互いに時間が合わなくて、ちゃぷこんのひとときを持てなかった。
     やっとできた二人だけの時間を大切にしよう。

    「先に髪を洗わせてくださいね」

    「おう、遠慮するな」

     湯けむりの向こうで、妻が満面の笑みで見つめてくれている。
     老眼だが、それ位分からいでか。
     揺れるIカップのためなら、何でもしてあげたい。
     やましいようだが、心からそう思える。
     誓ってもいい。

    「さあ、温泉お風呂から上がりましょう。あなたも綺麗になったわ」

     ついさっきまでは、そう思っていた。
     けれども、これは危険だ。

    「すまない。やっぱり無理じゃもん……」

    「似合うわ! とても似合うわよ、あなた」

     ひなぎくが太鼓判を押して俺に着せた服。
     俺もその気か、脱衣所の鏡に向かう。
     言われるがままにそのポージングをしてはみた。
     でも、駄目なんだ。
     これだけは、愛妻の願いを叶えられそうにもない。

    「これを着て、一緒におねんねしましょうね」

     むむむむ、とびきりの笑顔がまた可愛い。
     この笑顔を曇らせるなんて想像するのも嫌だ。
     嫌だけれども、この格好だけは我慢ならない。
     
    「ああ! 俺は一体どうするのじゃもん?」

     ◇◇◇

    「結婚したら、夢だったの。お揃いのパジャマ」

     ひなぎくに着せられたのは、まあ、大したことはない。
     お揃いが怖くて、六人の父親を老眼でやれるか。
     ただ、ひなぎくのセンスを疑いたい。
     それで、博物館学芸員なのか。
     本当に芸術を愛している者なのか。

    「ひなぎく……」

    「なあに? 可愛いでしょう?」

     もう、着てしまったものは、致し方ないのかも知れない。

    「これから、ひなぎくは、すやすやと眠るんじゃよ」

    「ええ、あなたのお陰だわ。だからね、感謝の意味を込めて、昨日ミュージアムショップで求めて来たの」

     お出掛けしていると、温泉お風呂の時間が減るんじゃもん。
     悔しくてパジャマの裾を引き、柄をピッと出す。
     俺は、両頬に左右の手を当てる。
     そりゃあ、驚くわな。

    「それでかー」

    「どうしてかしら。幾つもある名画よ」

     天使の微笑みは、天然だって忘れておったわい。
     ポリッと頭を掻く。
     あー、アラフィフ哀しいかな。

    「ムンクが呼んでいるようじゃよ」

     カッポーン。
     俺の叫びが響き渡った。


  • 編集済

    💕💕💕💕💕

    結局買ってしまったこのTシャツ。背中に

    「ラブコメの ノリで逃げるな 関川君」

    と七五調で書いてある。

    これ、最近流行りのアニメタイトルなんだけど、そして確かにボクも「関川君」なわけだけど、だからといってこれを着るのはメチャクチャ恥ずかしい。というかいい歳の大人として、やって良いことと悪いことの区別くらいはつく!

    ……だが、断れなかった。アリとかナシとかってレベルではないこのシャツを着て次回デートすることになってしまったのだ。しかもすでにハイアットの最上階レストランにランチの予約を入れてしまった。ドレスコードに引っ掛からないかどうかの心配からスタートだ。

    ただ、その前に気になることがある。ボクが彼女のセンスに困惑したのは今回が初めてだった。というのも普段の彼女は割と慎ましく清楚な感じで、人目は引かないものの、逆に好感度高めというか、完成されているというか、とにかく服装に関する違和感はまったくなかった。むしろボクの方がファッションセンスに自信がなく、引け目を感じていたのだ。だから少なくとも彼女はボクよりもセンスがあると信じていたし、もし仮に彼女と結婚する事ができたら、服は彼女に全部任せたい、そう直感していた程だったのだ。

    だから合点がいかなかった。何か理由があるのではないか?
    もしかすると彼女には身内にコーディネーターがいて、その指示でこれまでデート用の服を選んでいたとか? ……いや、違う。今回の彼女のごり押しは相当自信に満ち溢れていた。そんな彼女が他人に頼るはずがない。

    そう思ったボクは、もう一度彼女に買わされたTシャツを手に取ってみた。
    相変わらず背中に赤い文字で

    「ラブコメの ノリで逃げるな 関川君」

    とある。確かこのアニメは、女性と上手く付き合うことができなくなった主人公が同年代の男性に救われるというBLものらしい。実際に観たことはないけど、職業柄ボクも聞きかじってはいる。ただ彼女はアニメとか観そうにないしなー。きっとあらすじも知らないだろうし。


    ……ん? ということは?


    ……まさか……ボクに対する当て付け?


    いや、そうかもしれない。確かにボクはこれまで、「恋愛」についてまともに書いた事がない。作家としてはボク自身、それなりの評価を得ているし、書く事に関してこだわりはあるものの、具体的な男女の関係については避けてしまうというか、コメディ展開に逃げてしまうというか、正直、苦手意識を持っていた。実際、小説ジャンルにおける「恋愛」と「ラブコメ」は大きく違う。その内容、視点、好まれる文体などの差は天と地ほどもある。その中でボクは男として「恋愛」に踏み込むのがなんとなく恥ずかしいとか、女性作家と同じ土俵で比べられるのが嫌とか、書けない理由はいろいろあった。

    ……いや違う、何も執筆に限ったことじゃない。ボクは実際の彼女との関係でも逃げているところがあった。自分に自信がないボクは、これまでの彼女とのデートにおいてもコアな展開を避けてきたんだ。一緒にいられたらいい、面白ければいい、関係を壊したくないと自分をごまかしながら一線を越えようとせず、今までズルズル来てしまった。彼女の気持ちに対してボクがまともに向き合って来なかったことを見抜かれていたんだ。

    だからこの服のメッセージはきっと、そんなボクに対する彼女からのエール、なんだと思う。確信は無いけど。だけどこれが彼女の本音なら、ボクは応える必要がある。もう逃げてはいられない。

    そう思ったボクは意を決して、このシャツを着てデートに臨む事にした。そして彼女の真意を確かめたい、そう思ったんだ。


    ※ ※ ※


    「せっ、関川君……何? その服……」
    「えっ? 前回買ったやつだよ? 『次回これ着て来てね』ってトリ子ちゃんが言ってた――」

    「まさか! 私がそんなこと言うわけないじゃない!」
    「いやいや、絶対ボクに似合うからってポーズまで決めさせて――」

    「そんな記憶なんてないから! だいたいどうすんのよ? 今日はハイアットの最上階レストランに予約取ってるんじゃないの? そのカッコじゃドレスコードで断られるに決まってるじゃない! 私がどれだけ楽しみにしてたかわかってるの?」

    「???」
    「もういい! 帰る! さよなら!!!」



    ――この日からボクは、女性不信に陥った。

    (続く)

    作品タイトル:『ラブコメのノリで逃げるな関川君』

    主人公:関川 二尋
    ヒロイン:ゆうけん

    『ラブコメのノリで逃げるな関川君』エンディングテーマ「Alone」
    https://m.youtube.com/watch?v=ZNy1sYAytg0

    (前奏 28秒)

    目醒めに刺さる 夕陽の斜光
    泣き腫らした顔に映る窓影
    おぼろに響く 別れの後の言葉
    悔やみ切れぬ一言 あの一言
    (バイバイ)怒りは哀しみに
    (変わり)たちまち昇華して 香りだけ
    (残し消えて記憶刻む)

    暗がりの中 毛布の中で
    息殺したまま心も殺そうと
    どこに行こうと どこまで行こうとも
    ずっとついて来るのはただ 孤独のみ

    (ごめん)まだ許せぬ心
    (ここまで)ボクを苦しめる 自分で 自分に 「バカが……」

    二つの部屋一人きり 月下の尋問
    暗がり沁みる絶望 濡れてる白い靴下 抱え震える夜