第3話 誰を信じて良いのか ――アニメ『Vivy -Fluorite Eye's Song-』 #1「My Code」 #2「Quarter Note」

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本話には、アニメ『Vivy -Fluorite Eye's Song-』の第1話「My Code-歌でみんなを幸せにするために-」及び第2話「Quarter Note-百年の旅の始まり-」の内容を含みます。

未視聴の方はお気をつけいただければと思います (´・ω・)

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 アニメの第1話を見始めるとき、どんな気持ちになる?

 俺はとてもワクワクする。見たこともない世界がこれから繰り広げられるとしたらとても楽しいことだと思う。原作付きアニメでも、原作未読なら初めて作品に触れることと変わらないし、知っていたとしても、どうアニメ化されるのだろうというワクワク感がある。まして、それがオリジナルアニメならなおさらだ。


 2021年4月から放送開始されたアニメ作品『Vivy -Fluorite Eye's Song-』は、俺たち兄妹の心を揺さぶるには十分な内容だった。ワクワクを早く語りたいという気持ちが抑えられなかった。


「とりあえず言いたいことは、めっちゃ面白いってことなんだよマジで」

「分かる。色々話したいことはたくさんあるけれど、視聴後に感じたワクワクは本物」


 妹の結菜ゆなも語り始めからテンションが高い。いつもはもっと理屈をこね始めるのに、ワクワクのほうが勝っているようだ。俺も同じ気持ちだから分かる。結菜ほどではないが体が前のめりになる。


「設定としては一見ありきたりのようにも思えたんだけど、なんだろう、そんなものが気にならないくらいワクワクしたんだよなー」

「分かる。おそらく、スピード感が鍵だと思う」


 本作品は未来からAIがやってきて、不都合な未来を変えるために現代のAIとともに奮闘する話だ。AIが暴走して人を殺してしまうという設定は古今東西あるので、またそんな話かと食わず嫌いしそうになった。冒頭の人が殺されるシーンの描写は、掴みとして定番過ぎて逆に敬遠しそうになったぐらいだ。1話切りは駄目、絶対。


「分かる。確かに冒頭シーンはありきたりだと最初は思った。明るい歌と残酷な殺しを混ぜ合わせることで恐怖感を煽るという手法。でも延々と続くわけじゃなくて、あくまできっかけとして描かれたものであり、すぐに話が進むのが良かった」


 俺も結菜と同意見で、もし冒頭シーンが後数分続いていたら飽きていたと思う。でも実際は、ヒロインであるヴィヴィにフォーカスがすぐに移ったので一気に安心した。キャラクターの登場は重要な視点切り替えである、と当たり前のことを思った。それがヒロインであればなおさらだ。


 ところで、ヒロインはヴィヴィと呼ぶべきかディーヴァと呼ぶべきか。ヴィヴィのほうが可愛らしいと思うけど、モモカっていう女の子以外はみんなディーヴァって呼ぶから、そっちの印象のほうが強くなっているのは事実としてある。


「私はディーヴァ派。いかにもAIの名前という感じがしてしっくりくる。ヴィヴィのほうが人間的なんだけど、多分これはモモカがそういう願いを込めてつけた相性なんだと思ってる。後、初音ミクのイメージが強い」


 確かに、ディーヴァって聞くとまず最初にProject DIVAを思い出した。歌う系にはディーヴァってつけなきゃいけない決まりでもあるんじゃないか? なんて笑っていたら「ディーヴァには歌姫という意味合いがある」とすぐに突っ込まれてしまった……。容赦がない。


「人によってディーヴァという言葉の受け取り方は違うようだけれども、日本においては歌姫ぐらいの感覚で使われていることが多いから、それぐらいの解釈でも良いと思う。ただ、少し前にアメリカの女性歌手が、女性を差別的に表す言葉としてディーヴァという言葉が使われていると訴えていたのが印象に残っている。本質はディーヴァという言葉ではなく、女性に対してディーヴァという言葉でレッテルを張って評価してしまうこと」


 本作品にはあまり関係がないことかもしれないけれど、と話はそこで終わったけれども、そういう受け取り方もあるんだなぁと小学生みたいな感想を持ってしまった俺は何なんだろう……。というか、ディーヴァに歌姫っていう意味があったのなんて始めて知ったよ……。常識なのか?



「2話の中で印象に残ったのは、どう稼働し続けるかっていうセリフだなー。AIは思ったよりも使命というものを強く持っているんだなぁって」

「AIの使命は、この作品の最も重要なテーマの一つだと思う。だからこそ、2話の一番重要なシーンに入れてきた。AIと感情というテーマは普遍的だけど、そこに新たな答えを出そうとしているのかもしれない」


 確かに、ヴィヴィは人間的な感じを受ける。感情を刺激されて力を発揮するのがまずロボットぽくない。ただ、感情を刺激されるというよりは使命を刺激されたという方が正しいのかもしれない。AIが生み出されるときに使命が与えられるそうだけれども、そのあたりも関係しているのかもしれない。


 わずか2話までの描写だけど、ヴィヴィは自分でそれなりに考えているようにも見える。将来AIが暴走をするというのであれば、ヴィヴィのようなAIが何かをしでかすような気がしてならないのが怖い。AIの暴走を止めるために戦っていたAIが実は暴走の引き金を引く存在だったっていうのはやめてほしいところ。結菜も同じような意見のようだ。


「いずれにしても、まだ2話までしか放送されていないので見守っていくしか無い。サカモトも信用してよいかどうかも分からない。AI暴走を止めようとする人間を止めようとしている悪いAIの可能性もある。都合よく未来をのことを語る存在はまず信用しないことから始めるべき」


 それには俺もマジで同意だ。一見正しそうなことを言っているけれども、騙そうとしていることがあるんだって、これまで見てきたアニメでたくさん学んできた。もう何も恐くない。



 ということで恒例の、俺たち兄妹の評価を載せて終わろう。次回もよろしく。



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評価:★★★★★

理由:

話の展開の速さが素晴らしい!

まだまだ分からないことは多いけど、先が気になって仕方がない!

今から3話が楽しみ!

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評価:★★★★☆

理由:

AIの使命という普遍的なテーマをどこに着地させるのかが気になる。

とはいえ、ストーリー展開の速さやアクションなど、単に見ているだけでも楽しい作品になっているのは素晴らしい。

3話も楽しみ。

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