第2話 家訓と失恋

 何故、俺が西野の手を踏んだのかそれには理由がある。それは、我が家の家訓が関係している。


 家訓その1、恩を受けたら必ず返す事。

 家訓その2、人を助け優しくする事。

 家訓その3、好きな人が居るならその他の人の告白を断り、相手が諦めるように確実に相手の好意を断ち切る事。


 ただこの件がきっかけで、俺は誰にも相手にされず、親友であった達也にも邪険にされたのだ。


「くそ、何で俺がこんな目に遭わなければならない」


 俺は机を大きく叩いた。


「浮気したり曖昧にする輩よりもよっぽどマシなはずなのに」


 でもそう悩んで、考えている暇はない。本来昨日告白する予定だったのに、この件があったせいで、1日予定がずれてしまっているからだ。


 俺は早朝に学校に来て、時野葵の机の中に手紙を入れた。


 俺は放課後、手紙に屋上を指定していたので、待って居たら時野がやって来た。


「良かった、来ないかと思ってたよ」

「話は何?」


 若干怒ったような口調で言われたので、告白しようか躊躇したが、告白する事にした。


「俺と......付き合って下さい」

「......ごめんなさい、私友達を傷つける人が嫌いなの」


 俺は頭の中が真っ白になった。


「まっ待ってくれ」


 俺の声はもはや届かず。彼女の涙目になった横顔を、俺は眺めている事しか出来なかった。

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