第6話

王妃様主催のお茶会にやって来ました。

私は目立ちたくない一心で空気と化してます。


整った容姿を持つお父様やお母様達と共にいると目立ってしまう事が分かっている私は早く二人の側を離れたかった。

王妃様への挨拶を済ませた後すぐに子供だけの席に案内され両親は「また後で」と言い残して離れた。

周りの子供達を見れば気合十分といった女の子達。

それぞれの話に頷くだけで良いので安心し、平穏な時間を過ごせていると思う。


主催である王妃様はいらっしゃるけど、第二王子であるルードルフはやって来ていない。それなりに場が盛り上がったところで登場するのだろう。しかし招待を受けた令嬢達は皆そわそわと落ち着かない様子だ。おそらくルードルフの婚約者探しの事を伝えられており楽しみにしているのだろうが私には興味がない。


「早く帰れないかしら…」


同じ席に座る子供達に聞こえないように呟いた。

王妃様には挨拶を済ませた。だから、さっさと帰りたいところなのだが両親は許してくれそうにない。

お父様は仕事の同僚らしき人達と笑って会話をしている。

そしてお母様は王妃様と仲良くしていらっしゃる。

二人は実の姉妹なのだから仲が良い事は変ではないのだ。

楽しんでいる二人を見て溜め息が出る。



「ディア、ちょっと良い?」


ケーキを口に入れ美味しさを感じているとお母様がこちらにやって来て声をかけて来た。

席の子達に礼をしてからお母様のところに向かう。

王妃様との会話はもう良いのだろうか?


「お母様?王妃様のところに居たのでは?」

「その王妃様が貴女と話したがっているのよ」


周りに聞こえないように耳打ちをされた。

王妃様が私に?

嫌な予感しかないので私としては話したくない。


王妃様が嫌いという訳でない。先程初めて挨拶をさせて頂いたがお母様の姉だけあって優しくて穏やかな印象を受ける人だった。

この場が第二王子の婚約者決めの場でなかったら私も仲良くお話したかったくらいだ。


「嫌そうな顔ね」

「気後れしてうまく話そうにないのです」


尤もらしい事を言うとお母様はちょっとだけ困ったように眉を下げた。


「お姉様は優しい人よ?」

「お母様にとってはお姉様だから緊張せず話せるのですよ。私にとっては王妃様です」


嘘は言ってない。

いくら血の繋がった伯母とはいえ今まで会った事なかった雲の上の存在だったのだから。


「そうね…」

「王妃様は私と何を話したいのですか?」

「それがルードルフ殿下の事らしいの」


ルードルフの名前を出されて固まった。

この場で彼の名前が出されると言うことはおそらく婚約に関する話なのだろう。


「分かりました」


あまり話したくはないが仕方ない。

嫌な予想が私の中で出来上がりつつあった。

確認するためには王妃様と話す必要があるので出向くしかないのだろう。

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