番外編
第1話 知らない言葉
本編14話後の話です。ほぼほぼ思いつきで書いてみました。面白さは少し微妙かもしれません。最後まで読んでいただけたら嬉しいです。
――――――――――――――――――――
夏休みに入り、すぐの日のことだ。買い物に行かされた次の日、
「りずは、テレビの音量、下げてくれるか?上まで聞こえるのだが」
「あ、ちょうど良かった。お兄ちゃん、今すごいのやってたんだよ!」
「・・・・・・あの、俺の話、聞いてました?」
「ねぇ知ってる」
「え?なんのこと?」
俺は、分からず変な答え方をしてしまう。りずはは変わらずニヤニヤとした顔をしており、なんかあったんだろうなぁと思うが、実際、何があったのかを問われればまず答えることはできない。
さてさて、何があったんやらか。
俺は、リビングのソファにドサッと座り、りずはと対面する。
りずははいそいそとお茶の用意をして机の上に置いた。
前にもりずはの入れた茶は美味いという話をしたと思う。飲めばわかることではあるけどな。
俺は、出された茶を取り敢えず飲んで、りずはに話をするよう促す。
りずははフフフと不気味な笑い声を上げ、俺はビクッと体が震えるのを知る。
ほんとに何があった!
「ええっと・・・・・りずは、何があったのか教えてくれるか?」
「テレビでね、ぴえん、やってたの!」
「はあ?」
ぴえん?何それ?ウケるんですけど!いや、ウケないね。はい。りずはのテンションについて行こうとするとこうね、墓穴を掘るというか、なんかボロを出しちまうんだよ。旅行で不用意にりずはのハイテンションに釣られないようにしないとな。
それはそうとして。
俺は、良くもわからない言葉を聞き、意味を推測する。
ぴえん。
paのことか?つうか、paって何?パスカル?いや、りずはは分からないはずだ。とするとこれは違う。とすると何だ。ぴえんとは何だ?
りずははテレビの番組の中でその『ぴえん』と呼ばれるのがあったと言っていた。つまり、この言葉はその番組に関係しているのか?
「りずは、さっきまで何見てたんだ?」
「ん?さっきまでって普通にバラエティだけど」
バラエティ番組か。
バラエティ番組は、トーク・報道・ドキュメント・コント・コメディ・歌・クイズ・ゲーム・ものまね・ドッキリ・グルメ・ロケ・映像・恋愛・雑学・奇術・心霊・お色気・視聴者参加型の企画などのいくつかの種類の娯楽を組み合わせたテレビ・ラジオ番組のこと。
俺は、頭の中にある知識を取り出し、意味の推測を更に進めていく。
りずはのことだからおそらく勉強関連ということはないだろう。成績自体も細かく見たわけではないが、かなり俺からしたら悪い方だった。人により気ではあるとは思うがな。
俺は、あまりというか全くと言ってもいいほどにテレビを見ない。新聞で情報収集してるしな。
とすると俺もその番組とやらを見ないと分からないのではないのか。俺はそう考えるが、いやしかし、それもまた変だ。
りずははその番組を通す前に知っていたはずだ。知らなかったのであれば、『テレビでね、ぴえん、やってたの!』このセリフは出てこないだろう。つまり、すでにその番組を見るまでもなく知っている言葉であることがもう分かる。
しかし、それもおかしい。何で俺は知らないの?という問題がある。
俺は、国語辞典一冊ほどの言葉の意味を理解、暗記しており、俺の頭そのものが辞典と言ってもいいレベルだ。だが、その『ぴえん』なるものはない。俺の頭の中にはない。とすると俺は勉強不足、と言うことなのか?
だから、俺は、“ 全国2位 ”なのか!
俺は、とんでもない事実に辿り着き、あああ!!!!!!と頭を抱える。
「ど、どうしたの、お兄ちゃん!!」
りずはの叫び声のようなものが俺の耳に届くが俺は、もうダメだ。俺は、気を失うかのように眠った。
◇
結局、『ぴえん』とは何だったのか。
それは、起きてすぐにりずはに問い詰め、意味を知った。
何でも『ぴえーん』という言葉の略称で(泣)なんて風にメールのやり取りなんかにも使われているのだとか。
知るかよ、そんなの!
俺は、まだまだ知らない言葉が多くあることをこの日、知った。
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