希望の轍

心に細い雨がふっている

しとしとと しとしとと

ぬかるんだ表面に車輪のあとが残っている

いく重にも いく重にも

水たまりに静かに波紋が広がる

何紋も 何紋も



手を伸ばして何もないくうをつかんでみた

開いてもそこに夢はなかった

青い空を見上げれば

白い雲が流れている

あの雲の流れる先なら見つかるのだろうか

本物の答えが


もし今日過ごした一日が

その日々が

結局自分の出した答えなのだとしたら

それは人生の最後まで採点はできなくて

その採点をするのは

神か それとも

自分自身か


もし自分が採点するのなら

どんな基準で採点するのだろう

人生の笑顔の数

ありがとうと言われた数

美しい風景を見た数

綺麗な花にときめいた数

夕日に涙した数

夜空で数えた星の数……


いったい何が正解だというのだろう

模範解答ならきっと

図書室の偉人コーナーにいけばあるのかもしれない


だけど


たとえ世界を救うことができなくても

誰かひとりのための主人公でも

別に構わないじゃないか

そんなに立派な夢がてのひらになくても

希望を持っていれば

それだけで


そして


きっと最後の問題はわかっていて

その答えだけはもう決まっていて








「きみで良かった」






それだけは

たぶん正解なんだと思ってるよ



心に細い雨がふっている

しとしとと しとしとと

ぬかるんだ表面に車輪のあとが残っている

いく重にも いく重にも

一番下のわだちの中に

新しいスプラウトが生まれていた



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