それはきっと

それはきっと


夢かもしれない


幻かもしれない


それはきっと


蜃気楼のようでいて


陽炎のようでいて


ゆらゆらとして


ただぼんやりとして


それはきっと


聞きまちがいかもしれない


きっと


見まちがいかもしれない


もしかすると


ただの思い過ごしだったかもしれない


でも今夜


あなたの声が


あなたの眼差まなざしが


あなたの笑顔が


わたしに向けられたとき


それはきっと


人生で最高の瞬間で


まちがいなくきっと


この日のために生きてきたと思えるような


そんな幸福感で


それはきっと


恋ではなくて


おそらくきっと


愛といふべきものでもなくて


たぶんきっと


憧れのようなもので


でもきっと


あなたには伝わらなくて


それならいっそ


伝わらないほうがよくって


そしてきっと


そのあなたといふのは


今これを読んでいるあなたのことかもしれなくて


そしてきっと


気づいてもらえることもなく


いつしか、きっと


季節はうつろい過ぎていき


やがてきっと


風と共に忘れ去られていくのだろう


ただ風と共に


それでもきっと


いつまでも


風はふいている


きっと


いつまでも


それはきっと

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