優しく君を抱きしめた
貴方の仰せのままに、我が姫君よ
あの日
まだ少年だったぼくは
貴方の前にひざまずき
握った拳を胸にあて
そう貴方に誓った
けれども貴方は
ぼくの剣は必要としなかった
みずから鎧をまとい
つねに民の盾となりて
城壁の上
ブロンドの髪を風になびかせ
その美しい頬を少し
煤で汚しながら
凛とした強い眼差しの瞳で
雄大なホライズンに沈む
あの夕陽を見つめていた
その眼差しの向こうに
どんな明日を夢見ていたのか
それからも
ずっと見守り
支えながら生きてきた
ある日また
私が拓く新しい未来に
ずっと傍に
いてくれますか?
ぼくを見て
微笑みながら でも
少し不安そうに尋ねる貴方に
もう一度
胸に手をあて、ひざまづき
貴方を見上げて申し述べた
どうぞ貴方のお気に召すままに
けれども貴方は
やっぱり、どこか
物憂げな顔をして
少しだけ大人になったぼくは
立ち上がり今度は
貴方の手を取り
貴方と同じ目の高さで
貴方に負けない微笑みで
たとえ貴方がお気に召さなくても
ずっと貴方の傍にいさせてください
僕がそうしたいから
そう言って
優しく君を抱きしめた
今日から
明日へと
続いていく未来を
君と一緒に
歩いていく
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