予定も何もない休日の香り

扉を開くと

鈴の音がする


カランコロン


あの音が好きだ

煙草と珈琲の匂い


壁にはコーヒーチケット

アンティークな家具


棚の中には

美しい柄のカップ&ソーサー


革張りの茶色いソファー

背もたれには白いレース


使い古されたカウンター

蜜蝋の輝きの木目の奥に

サイフォンが並ぶ


一段ステップを上がると

ギシッと伝わる感触


いらっしゃいませ


マスターの出すお冷の水差しは

薄らと雫がついていた


BGMに聴こえてくるギターの調べは

La Paloma


折り畳まれたメニューは

もう開けなくていい


お腹が空いたらナポリタン

タバスコをかけて


でも今日は

タマゴサンドとコーヒー


もちろんホットで


マスターがヘラでかき混ぜる

漂ってくるカフェインの香り


もう待ち切れない


静かな時が流れる

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