Mermaid sigh

月光を浴びて‬

蒼いシーツの海に飛び込み‬

滑るように泳ぐ君は‬

今宵マーメイド‬

衣擦れの波音と共に‬

どんな歌声を‬

聴かせてくれる‬


彷徨う小船‬

汗ばむ腕から‬

放たれた‬銛は

今夜もまた

泡へと消えた


絡み合う指

二人踊る輪舞曲ロンド

笑みをたたえる

熱い唇に

何度も沈められて

最後のくちづけのあと

ようやく人魚姫は

吐息をついた


でも、シャワーの前に

甘い髪の香りに

もう一度だけ…


「素敵だよ」



朝陽が差し込む‬

鏡台の前に腰掛ける‬

君の後ろ姿を‬

まだ寝ているフリをしながら‬

薄目で眺めている‬


椅子の脚の間‬

覗く素足から‬

やがて腰のラインに‬

露わになった背中へと‬

移った視線は‬


髪を上げた細い首‬

その奥の鏡の向こう‬

笑みをたたえる‬

唇でとまった‬


せっかく整えた‬

メイクもセットも‬

全てやり直しだから‬


先に謝っておこう ‬

でも、‬

その前に…‬


「綺麗だよ」‬

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