青春死体! 続いたら


 雨の日。


「はぁ……ダッるい……」

「おいおい元気出せよ☆」

「イラァ」

「うーあー」

「尸解仙ちゃん暇ー」

「皆さんお茶が入りましたよ」


 ルシフェルの煎れたお茶をすする皆。

 ちなみに浮遊霊ちゃんはリモートワーク中だ。

 彼女曰く。


『怨み屋本〇って所で働いててー』

『おいやめろ作者その漫画読んだ事無い』

『えー面白、じゃない楽しい職場なのに。画面の向こうにいる皆さんに会いに行くだけでいいんですよ』

『絶対、そんな内容の漫画じゃない。ていうかリングじゃねーか』

『貞子大先輩には敵わないっす』


 との談だった。

 そこでゾンビが立ち上がる。


「うーあー!」

「なに!? バンドやろうぜ!?」

「はぁ!? ゾンビが急にそんな吸血鬼の妄言みたいな事言う訳ないでしょ! 誤翻訳すんな」

「いや、言ったって……」


 ゾンビが奥の部屋から楽器一式を持ってくる。

 ギターにベースにドラム。


「どこにあったんだこんなの……」

「うーあー」

「浮遊霊ちゃんの部屋に? ああー、そうか倉庫代わりだったもんな」


 そう浮遊霊ちゃんの部屋は浮遊霊ちゃんが戻ってくるまでは物置きになっていたのだ。

 しかし浮遊霊ちゃんが戻って来た事により大移動が開始、それぞれの私物は各々の部屋に運び込まれ、それ以外は奥の大部屋に仮置きされていた。


「つまり持ち主不明の楽器……?」

「また呪われたりしたらやだぞ?」

「うーあー!」


 圧倒的スティック捌きでドラムを叩くゾンビ。

 曲がらない関節からどうしてこんな動きが!?


「うおお!? なんだこの魂に響くビート!」

「なんか私も音楽やりたくなってきた!」

「ボーカルどうする?」


 そういやアイドル回の時に歌の上手い順とか決めたような……。


「確認してこいや」


 ……チッ。

 ……。

 確認してきました。

 魔女、無難。

 尸解仙、ややウマ。

 吸血鬼、上手い。

 ゾンビ、うーあー!


「じゃあ、ここは吸血鬼か?」

「なにが?」

「ボーカル」

「いやだギターやりたい!」

「あん? じゃあ私か」

「私やりたーい」


 手を挙げたのは魔女だ。


「無難」

「うっせぇわ!」


 こうしてポジションが決まった。

 ボーカル、魔女。

 吸血鬼、ギター。

 ゾンビ、ドラム。

 尸解仙、ベース。

 作詞作曲、ルシフェル。

 MIX、浮遊霊ちゃん。


「ふええ、なんで私がそんな事……っていうか前回、最後のお焚き上げで私も巻き添え喰らいかけた事忘れてませんからね!」


 とにかく始まる……不老不死老人ホームバンドの歌が!


「ちょっと待ったバンド名がダサい」

「じゃあ、アンデッド・アン〇ックで」

「おい、ジャ〇プ連載作全部パロる気か」

「此処、KADOKAWA様のお膝元なんですけど!」


 シャラップ尸解仙、間を取って『アンデッド』に決まるバンド名。


「ガールズデッ〇モンスターが良かった」

「パロらないと死ぬ病気なの?」

「いいから始めるわよ! 私達アンデッドで『不死身の歌』」


 無限に生きた――


「おい、止めろ」

「アルケ〇ー!? こんな序盤で!?」

「消えそう、というかいい加減エンジェル〇ーツパロから離れろォ!」


 改めてミュージックスタート♪


 デッデデーデケデン。


 私達、生きてるー。

 元気に生きてるー。

 死にそうになってもー。

 成仏しそうになってもー。

 Ah~、夢叶える日までー。

 (呪い解く日まで~)

 Oh~ 世界が終わるまで――


「止めろ止めろ!」

「次はスラ〇ンか」

「やっぱパロらないと死ぬ病気なんだな!? そうなんだな!?」


 戦犯はルシフェルである。


「天使だからエンジェル〇ーツパロだったのか!?」

「ス〇ダンに移行したのはなんでだ」

「なんか思いついて……」

「なんかて」

「今度こそぉ!」


 ♪

 生き続ける私達。

 どこまでも、どこまでも。

 邪魔なんか誰にもさせない。

 どけよ、邪魔だよ、我が道通る。

 王道邪道関係ないね。

 生き様だけを見てくれよ。

 死に様なんてないからさ。

 Ah~! 生きてるってつれぇよなぁ!

 Ah~! でも生きてるって楽しいなぁ!

 Oh~ Oh~ Oh~

 生き続ける私達。

 いつまでも、いつまでも。

 何者にも汚せない。

 うるさい、だまれ、私の歌を聴け。


(……セーフかアウトか判断に困る……!)


 生き続ける私達。

 雑音騒音轟音関係ないね。

 生き様だけを見てくれよ

 死に様なんてないからさ。

 Ah~! 生きてるって長いよなぁ!

 Ah~! 生きてるって短いよなぁ!

 Oh~ Oh~ Oh~

 叫び続ける私達。

 どこまでも、どこまでも。

 何者にも邪魔できない。

 そうだ、そうだよ、私の生を見ろ。


 ジャカジャーン!


 全員決まった……みたいな顔をしている。

 途中、マク〇スパロが混じりかけたがセーフとした。

 

「まあまあ良かったんじゃない?」

「あー良かったな!」

「うーあー!」

「結局パロってたけどな」

「ブラボー! ブラボー!」

「これをMIXすんのか……嫌だ……ていうかうるさくて仕事に集中出来なかった……」


 浮遊霊ちゃんが苦労枠に就職しつつあるところで今回は〆。

 オチ? 無いよ。

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