【簡単なあらすじ】
ジャンル:現代ドラマ
休日の買い物中に胸が苦しくなり倒れ、急死してしまった主人公が霊となり、家族の様子を眺めながら現在や過去に想いを馳せていく。その中で人生を振り返り、反省や後悔なども綴られ、教訓ともなる物語。
【物語の始まりは】
自分の死を客観的な視点で見るところから始まっていく。死後、残した家族を眺める日々が始まった。彼はずっとこのままなのだろうか? 後悔を抱えながら家族を見つめる父の物語。
【舞台や世界観、方向性(箇条書き)】
残した家族を見つめながら、子供たちの成長を見つめたり自分が子供だった時のことなどを思い出し、後悔したり。
【主人公と登場人物について】
主人公には二人の父がいる。育ての親と生みの親というものである。
三人兄弟の一番下で、自分の幼い頃に両親は離婚。良い年ごろになってから父に再会することとなるが、その時に父についての話を聞くことになる。
主人公にとっては育ての父のほうが父親なのだという印象。
【物語について】
主人公は亡くなってしまった為、人と会話したり触れ合うことはない。なので、モノローグで語られていく。タイトルにもあるように反省記である。妻や子供たちを見ながら、生きている時には出来なかったことに気づき、反省を重ねていく。子供たちは妻の判断により、主人公が死んでしまったことを知らない。どうやら子供たちには何かが見えてはいるようだが。
主人公が亡くなって直ぐは、妻が大変な想いをしているようで鍵をかけ忘れて寝てしまい、主人公が心配するような場面も。
亡くなった後に家族の様子が見られるということが実際にあるのかは、まだ生きているので分からないが、彼の気持ちには共感することが多い。
亡くなってしまった人が主人公ではあるが、生きている今を見つめ直すきっかけになる物語だと感じた。生きていた時の教育への在り方。子供への接し方、親に対しての想いや後悔。死んでしまってからでは遅い。日々後悔しないように生きていかなければ、と思わせる作品である。
【良い点(箇条書き)】
・簡単には語ることのできない、想いの詰まった人間ドラマ。
・自分の人生において、きっとこれから起きるであろう後悔を見ることができる。
・涙なしでは読むことのできない作品である。
・もし死んでしまい、客観的に家族を見ることができたなら、こんな風に考えるのだろうなと感じる。
・子供や妻へだけでなく、自分の親に対してもいろんなことが語られていく。
・父というのは親として微妙な位置にあると思う。それがとても分かりやすい物語でもある。
【備考(補足)】アイデンティティー3 まで拝読。(P15)
【見どころ】
死んでしまうとこから始まっていく物語。主人公は子供にとっては父であり、妻にとっては夫、母にとっては息子となる。それは当たり前の関係ではあるが、その三方から語られていく物語である。父としての想い。夫としての想い、そして息子としての想い。死後、三つの立場から反省や感謝、後悔。思い残したことなど。見ていることしかできない彼は、時にもどかしさなども感じていく。
自分の人生を振り返りながら、どういうことが親不孝なのか。子供とはなんなのか? 大人とはどういうことなのか? も考えさせられる物語でもある。主人公は決して裕福な暮らしをしていたわけでもなければ、真面目に生きてきたわけでもない。そういう過去があるからこそ、死んでから反省する部分があり、今さらながら後悔することが多いのだ。人間は、どんなに真面目に生きようとも裕福だろうと、後悔のない人生はないと思う。だが日頃から人生を振り返るということもまた、ないのではないだろうか?
あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? 人生についてじっくりと考える機会の得られる作品だと感じます。おススメです。