第237話 サラの魔法道場 其の二
手紙を送ってしばらくして、サラさんから返事がきた。師匠がその場で返信を読み、安堵の表情を見せる。
「大丈夫だって。ただ、交換条件として何日か滞在して魔法の研究に協力すること──って書いてある。どうやらサラさんのお弟子さんはコルネくんの魔法剣に興味津々みたいだよ」
Aランク相当のモンスターの莫大な討伐報酬に比べればずいぶんと良心的な条件だ。研究は何をするのか分からないが協力だけならきっと問題ないし、むしろ堂々と滞在できて万々歳だ。
お弟子さんの魔法の実力も気になるし、どうやって練習しているのかも気になる。アクスウィルでやられていたような模擬戦もあるんだろうか。
俺は魔法剣士は魔法使いというよりは剣士に近いと思っている。だからレオンさんのところでは他のお弟子さんに対してどうしてもライバル心のようなものが拭えなかったが、今回は純粋に楽しめそうだ。
新しくなったAランクの冒険者証や他の荷物を持って馬車に揺られること二日、サラさんの魔法道場に着く。馬車はサラさんが用意すると言ってくれたのだが、さすがにそこまでしてもらうのは申し訳ないので自分で手配した。
馬車を降りると、貴族の邸宅にあるような白い門に出迎えられる。夕陽に照らされた門はどこか高貴で荘厳な雰囲気があり、レオンさんのところの威容を誇っていた門とは違った意味で近寄りがたさを感じる。
門から向こう側へと延びる道のそばには花壇があり、色とりどりの花が咲いているのが見える。馬車の窓からも見えた白壁の建物といい、優雅というかお洒落というか──そんな印象を受ける。レオンさんのところとは趣がかなり違うようだが、やはりそれぞれの趣味なんだろうか。
「こんにちは、コルネくん──ですか?」
なんだか違う世界に来てしまったような一面オレンジ色に染まった景色を眺めていると、後ろから声を掛けられる。コルネ──くん? 初対面の人をくん付けで呼ぶ人はそういないだろう……ということはもしかして──
振り向くとそこには見覚えのある色素の薄い髪をした少年がいた。
「ルカ……くん?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます