第148話 久しぶりの討伐クエスト

 師匠とヘルガさんに見送られ、クエストを受けるためにヴィレアまでやってきた。


 以前と同じように魔力操作を使いつつ走ってきたのだが、ほとんど疲れなかった。


 おそらく走り込みで体力がついた結果だろう。クエストを受けるよりも前に成果を実感できるなど重畳だ。


 それに前に比べて少し早く着けたような……体感だからあまりあてにならないが、少なくともスピードが落ちたわけではないだろう。


 村の中を歩いて冒険者ギルドの建物を見つけると、ふと懐かしくなる。しばらく来てなかったから、俺の顔なんて忘れられてるかもな。


 ギルドの大きな扉を開けると、相変わらずの人の多さだ。数十人いる冒険者のうち、見たことがない顔が五、六人いる。


「よぉ! 久しぶりだな、あんちゃん。元気してたかい?」


 後ろから不意に声を掛けられ、振り向くと顔見知りの同業者だった。気さくで、以前よくギルドで話していた人だ。


「俺、こないだラムハの収穫祭で見たぜ! ステージに出てたろ」

「私も見たよ。大盛り上がりだったじゃないか」

「久しぶりじゃねぇか、何かあったのか」


 俺が来たことに気付き、たくさんの人が話しかけてくれる。その中でも俺をステージで見たという人が多くてびっくりした。


 でも、そうか──俺がこうしてすぐヴィレアに来れるんだから、祭りのときにちょっとラムハまで足を延ばす人がたくさんいるのも当然だ。


 年一回しか大きな祭りがこんなに近くであるのだから、お祭り好きの冒険者が逃すわけがないだろう。


 てっきり忘れ去られてると思っていたから、こんなに話しかけてもらえて嬉しかった。


 さて、今日のクエストは何にしようかな。久しぶりの討伐だから、肩慣らしに一つ下げたCランクにしておくべきか。


 しかし、修行での成長を確かめるためにBランクを選びたいという気持ちもある。


 ブランクを埋めるくらいは修行で成長しているはず──いや、どうせ何回も来るのだ。今日はCランクにしておいて、次からBランクを選べばいい話だ。ここでわざわざ危険な選択をする必要はないだろう。


 Cランクで討伐数が少ないクエストは──ちょうどいいのがあった。これにしよう。

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