第85話 アクスウィル魔法学校 其の十二

 授業が始まる前、魔法学校の廊下を歩きながら、周囲からは分からないくらいに小さくため息をつく。


 僕はここに来て少しがっかりしていた。


 だってコルネくんの帰りは遅くてそれまでずっと暇だし。僕が鍵を持っているからどこかに出掛けるわけにもいかないし。持ってきていたカードゲームが唯一の救いだ。


 昨日なんか、ものすごく遅く帰ってくるし……まあ、パーティを組んでた幼馴染と偶然再会したら話し込んでしまうのも分かるけどさ。


 それにその子はコルネくんの魔法の師匠らしいから感謝しないといけないんだけどさ。


 いいなぁ、コルネくんは魔法学校を満喫してるみたいで。僕なんか、毎日違うクラスに行って、質問攻めだよ。


 新入生はまだいいんだけど、上の学年になると毎年来てるから、する質問もすぐになくなり、質問じゃないような質問が飛んでくる──自らの魔法がどうか訊いてきたり、アドバイスを求めたりするものだ。


 「私の魔法どうでしょうか」という質問は本職の魔法使いにしてほしいし、他にも魔法の理論に関することはその道の専門家に訊いてほしい。


 あーあ、魔法剣見せるだけでキャッキャ言ってくれる新入生のクラスだけ回れればいいのに。


 でもこれも魔法剣士を広めるため、もしかするとこの学校にも逸材が眠っているのかもしれないのだから。


 そういえば、コルネくんの言ってたアドレアって生徒は魔法がすごいらしいけど、剣は使えたりしないかな──そんなわけないか……

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