第34話 ダンジョン探索を終えて(アドレアとロンド視点)
宿屋のおかみさんからマリーがパーティを抜けたと聞いてコルネとエミルがパーティに残っているのだと思っていた。
それから何日かして、パーティの様子を見ようとギルドに顔を出したら受付のベティさんからパーティは解散したと告げられた。
詳しく聞くとコルネはボクと同じ日に抜けて、マリーとエミルが同時に抜けたことが分かり驚いた。
誰一人として居場所を知らないから再結成は無理だろう。結構パーティでの生活は気に入っていたのにな。
パーティを抜けてからずっと宿屋に籠って魔導書を読み耽っていた。読んでいるうちに魔法のことをもっともっと知りたいと思うようになっていた。
そのためにはどうすればいいか。ちょうどパーティの仕事もないし前から気になっていた魔法学校に行ってみるのもいいか。宿屋とギルドに言伝を頼んでおいてパーティを組む話が上がれば戻ればいいし。
魔法学校のある場所は人が多いからきっと何か仕事もあるだろう。足りない学費はそれで補えばいい。
ボクはその日のうちに男装して魔法学校のあるアクスウィルへと出発した。二晩泊ってアクスウィルへと着き、数日で入学手続きを終わらせた。
「魔法学校、どんなところかな」
宿屋のベッドで呟く。明日から学校も始まり寮に移るので、ここともおさらばだ。
* * *
無事にダンジョンから帰ってきて一晩、戦利品を数える。たった二日のことなのに振り返るととても長く感じる。
「十二、十三……」
きっと最後のダンジョンから引き揚げたときのせいだろう。あんなに必死になったのは久しぶりだ。
最後の最後、もう少しというところで倒れて動けなくなってしまって──コルネくんが運んでくれなかったらダンジョンの崩壊に巻き込まれて死んでいたかもしれない。
結晶を操る魔力は最後まで持つように上手く配分できていたが、体力が思ったより早く限界を迎えてしまった。
本当に師匠として不甲斐ない。ペース配分を間違えて弟子のお荷物になることなど今後絶対にないようにしないと。
それにしても今回のダンジョンは深かった。僕の見立てだと五階層だと思っていたが、おそらくラムハの街の魔力が想像以上に溜まっていたのだ──そのおかげでこのサイズの魔力結晶が手に入ったわけだけど。
綿の上に疵がつかないように置かれた最奥部の魔力結晶に目をやる。コルネくんと八二で分ける約束だが、ここまで大きいと師団に売る以外の使い道がないだろうな。
でも魔法を試したいときに大きな魔力結晶があると便利だから彼と相談して共用ということにしたいところだ。全体の二割は絶対にあるから、僕が取ると取り分があれだけになってしまう。
コルネくんの武器に使うのも含めて二割か……それでも十分な量なんだけど欲が出てしまう。せめて七三と最初に言っておけばよかったかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます